IPFbiz

知財・ 会計・ビジネスニュース

分割出願の審査請求の要否をどう判断するか

   

以前に、特許査定後のコピー分割(バックアップ分割)のおすすめを書きました。

特に早期審査で早期に特許査定が出たときに、後々権利範囲を変更する余地を残すため、保険的に・バックアップの意味も込めてコピー分割をしておくという趣旨です。

さて、そんなコピー分割の審査請求の要否を判断する時期も、分割出願から2年後くらいに(親出願から3年後に)訪れます。
その時に、審査請求をするか否か、どう判断すればいいでしょうか?

 

基本的な考え方

まず、基本的な考え方として、コピー分割自体はバックアップとして、保険的な意味合いでしているものなので、
下記に述べるような積極的な要素がなければ、審査請求はしないという判断が自然なものになります。

せっかく出願したのに、審査請求をしないとみなし取り下げになってしまうけどそれでいいの?という感覚もあろうかと思いますが、元々のコピー分割自体が保険的な意味合いなので、保険をかけたけど特に必要な事情が生じなかったから保険をかけ捨てたということですね。保険料自体も、そこまで高いものではないです。

逆に、必要な事情が生じて審査請求をするときは、それを活用してどんな権利範囲を取りたいのかということを決めて、自発補正もセットで行うことになります。

 

審査請求をしたほうがいい要素

コピー分割の審査請求をしたほうがいい要素は、
「親特許の権利範囲では不十分な事情が生じているか」
「延命措置を図る必要があるか」
ということです。

 

前者は例えば、
・時間がたって、競合サービスが出てきたが、微妙な表現の違い、限定事項のせいで権利行使ができず、それに当て込むように権利範囲を拡張・変更するチャレンジがしたい。

・親特許の時に少し妥協して権利範囲を限定したが、やはりそれを広げるチャレンジをしたい。

・時間がたって改めて見直すと、親特許のクレームに余計な限定があり、そのせいで権利行使ができない競合サービスがある。

といった事情です。
いずれも、親特許の権利範囲と競合サービスとを対比したときに、十分かどうか、不十分な場合それを埋めるような修正が親特許の明細書からできそうか、という判断になります。

また、
・自社サービスの仕様を変更して、それをカバーできるように権利範囲を変更したい
という事情もあり得ますね。

 

後者としては主に、
・権利行使をする可能性がある競合他社の実施がある
ため延命措置を図っておきたい、という事情ですね。

親特許の権利範囲が十分に見えても、係争の過程でポイントをずらしたり、場合によってはより具体化して狭めて審査請求をして無効化リスクを抑えることも考えられます。

一応、すごく贅沢な使い方として、
・特段そういう事情は生じていないが、変更できる余地(時期的猶予)を引っ張っておきたい
という理由で、単に審査請求だけしておいて、審査結果が確定するまで分割の分割をできるようにしておくという使い方もあります。いくらお金をかけてでも引っ張り続けたい超重要基本特許の場合は、それも無くはないです。

 

逆に、これらの事情が特になく、親特許の権利範囲で十分ということであれば、審査請求は不要かなということになります。

実際は、取りたい内容を取れるかどうかは親出願の明細書にどこまで書いているかも関わってくるので、悩んだら相談してください!

 - 特許

ad

ad

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

  関連記事

基本特許とは何か。基本特許の例/リスト[弁理士の日記念]

本日7/1は、弁理士の日らしいです。弁理士だけど知らなかった。ということで、ドク …

サーチャー酒井美里×IPFbiz ~特許調査のプロフェッショナル~

対談シリーズ第10回は、スマートワークス(株)代表でスーパーサーチャーの酒井美里 …

invention
プロダクト・バイ・プロセスクレームの憂鬱 最高裁判決解説

プロダクト・バイ・プロセスクレームの最高裁判決が出ました。製法が異なれば特許侵害 …

mirai
特許無償開放 トヨタ自動車とテスラの違い

年明け早々からビッグな知財ニュースです。 トヨタ自動車が、燃料電池自動車に関する …

IT系知財のオープンな勉強会やります。 ~気になる特許について語ろう会(第1回)~

これまで、事務所内で定期的に勉強会をやってきました。過去の事例で中間対応案考えて …

企業知財部と特許事務所の違い【知財人材・弁理士のキャリア】

知財人材・弁理士のキャリアとして、代表的なものが企業知財部と特許事務所の2つ。 …

no image
独占性と排他性:独占排他権の誤解

特許権は、「独占排他的な権利」であると言われます。 独占的であり、かつ排他的であ …

無形資産ではなく、特許のことは特許と言おうぜ

アドベントカレンダーに空き枠があったので、たまにはとりとめのないことでも書いてみ …

2年ぶりの特許フェアの哀愁

特許・情報フェア&コンファレンス行ってきました! 2020年の特許フェアはオンラ …

今年の振り返りと来年の展望 ~会社を退職して独立開業します!~

今年も「法務系 Advent Calendar」に参加させていただきました!法務 …