知財キャリア相談 よくある質問
知財系キャリア相談やってます。
気づけば1年過ぎて、40人ほどの知財系キャリア相談に乗ってきました。
アンケートの中に、よくある質問をまとめてほしいという要望があったので、改めてまとめておこうと思います。
どうやって申し込んだらいいですか?
Googleカレンダーの拡張機能を使っています。
こちらのリンク先から、空いている枠に直接予約をしてください。事前の連絡などは不要です。予約後、確認のメールが飛んできて、そこにGoogleMeetのURLが入っています。
未経験で知財業界に入れますか?
実は一番よくある質問がこれです。
未経験で知財業界に入る(転職する)ときに、見られる要素としては、たぶん上から、
・技術的バックグラウンド
・若さ
・その他のポテンシャル(地頭の良さとかモチベーションとか)
・弁理士試験
・その他の能力(英語力とか、法律知識とか、業界知識とか)
上の二つを満たしていれば問題なく入れます。
どちらかを満たしていれば、頑張ればなんとかなると思いますが、一定の覚悟が必要です。
どちらも満たしていないと、正直結構大変ですが、絶対に無理ということまではないだろうと思います。ただし強い覚悟が必要です。
覚悟を見せる武器として、弁理士試験合格というのが分かりやすいですが、試験に合格していればすぐに仕事ができるという業界でもないので、過度な期待は厳禁です。
また特に別業界から入ってくる場合は、転職してレベル1からやり直すという覚悟は必要です。
知財業界って、どんな職種・会社があるんですか?
学生さんで知財業界に漠然とした魅力を感じている人からよく来る質問です。
知財業界図を作ってみたという動画があるので、良かったら参考にしてください。
基本的には、企業の知財部と特許事務所の2つが人数としてはメインで、それ以外にもいろいろあるよという感じです。
興味を持っている人が多いいわゆる知財コンサルは、数としてはとても少ないです。
企業知財と特許事務所、どっちがいいですか?
それぞれに良いところがあり、個人の性格や将来ビジョン次第だと思います。
長くなるので、こちらの記事を読んでください。
知財コンサルに興味があります
知財コンサルって便利な言葉で、人によって指している内容が違ったりするので、知財コンサルという言葉を使わずに表現すると、具体的にやりたいことや行くべき場所が見えると思います。
知財コンサルについてとことん議論した動画があるので、こちらもご参考にされてください。
転職先の選び方・注意点
特許事務所の場合は、自分が成長できる職場はどこか(どんな案件、業務内容、教育体制があり、誰がいるか)という観点と、自分が稼げる職場はどこか(業務内容、単価、給与テーブル、評価スキーム、事務所の業績、クライアント)という観点の2つが多分重要で、自分のフェーズによってどちらをより重要視するかを見極めるといいと思います。
企業知財の方も似ていますが、自分が好きな製品・サービスの会社だとより良いと思います。
その他の注意点などについては、知財業界における転職をとことん議論した動画があるので、参考にされてください。
弁理士資格はとるべき?
これもその人の状態次第なので、一般論では語れないですが、
ずっと知財業界にいるなら、できるだけ取ったほうがいいことが多いとは私は思っています。
弁理士試験勉強中ですが、先に転職すべき?
ぶっちゃけると、すぐに合格しそうな人なら勉強に集中できる環境のうちにさっさと取ったほうがいいし、時間かかりそうな人なら先に転職しちゃった方がいいかなと思ってます。
文系出身ですが知財業界に入れますか?
何をやりたいかによりますが、
意匠・商標を専門にしたいという志望なら、まったく問題ありません。
特許をやっていきたいのであれば、技術の勉強をすることに抵抗がなくて若ければいけると思います。
何をやりたいかが漠然としているという人も多いですが、そこはちゃんとはっきりさせておいた方がいいと思います。
興味のきっかけが著作権で、漠然と知財だからと弁理士試験勉強始めて、なぜか特許や商標の仕事をするというのもよくあり、それでOKなら全く問題ないですが、「知財」という言葉はとても広いので具体的に何をやりたいのか考えておくことをおすすめします。
独立するにはどうしたらいいですか?
実務力を身に着けることはもちろんですが、それだけだと足りないので、
他人と差別化が図れるような自分の武器が何かしらあるとやりやすいと思います。あと、実名での情報発信は必須です。
特段の武器がなくても、まっとうに頑張ればなんとかなる業界な気はしています。
あとは将来展望として、組織を大きくしたいのか、一人でやっていきたいのかは最初にしっかり考えておく方がいいです。どちらにも魅力があると思います。
知財業界のキャリアプランってどんなの?
イメージしやすいところで言うと、
・企業知財部で出世して、役職持ち→知財部長→役員までいけたら理想
・特許事務所で実力付けて、稼げて自由で色々やれる人になる
・特許事務所や企業知財やその他で実力付けて、独立
・企業知財で実力付けて、スタートアップに入って実績残して、あとは色々
・調査コンサルなどで実力付けて、独立したり色々やったり企業や事務所に入ったり
みたいな感じでしょうか。
色々パターンがあるので、身近な人やネットで見る人から、参考になるモデルケースを見つけておくといいと思います。
どの環境でも実力を蓄えることはできると思うので、それを意識しながら、+αとしては友達見つけて、コミュニティに入って、情報発信して、とかやっていくと俯瞰しやすくなると思います。
転職活動をするかどうかで悩んでいます。
今の事務所が〇〇で、転職するか悩んでます、みたいなのは、個別に聞いてください。
転職「活動」をするかどうかなら、情報収集や自己評価のために動いてみるのがいいと思います。
今の業務内容じゃなくて、〇〇な仕事がしてみたいから・・という理由であれば、まずは現職で〇〇な仕事ができないかを検討することをお勧めします。
エージェントは、相談するまでは全然ありで、エージェント経由で申し込むか自分で申し込むかは、ちゃんと検討するとよいです。
大きな組織の場合はエージェント経由ありで、小さな組織の場合は自分で申し込む方が喜ばれる可能性が高いのではと思います。
知財業界は人材の流動性が高い方だと思う(組織が変わってもスキルが通用するから)ので、転職はある程度ラフに考えてもいいかなと思っています。
どういう勉強・スキルアップをすればいいですか?
その人が置かれている環境とキャリアプラン次第なので、個別に聞いたほうがいいかな。
資格系は、弁理士試験とそれ以外とでおおきく分けられると思います。
実務スキルは裏切らない。英語はやるに越したことはない。
なにを勉強するにせよ、大人になった後に勉強を続けられる人とそうでない人には、大きな差がでます。
弁理士試験の勉強の仕方
勉強の仕方にはコツがあり、その時に合わせた試験の情報が必須なので、もはや私には具体的に教えられないです。
言えることは、独学ではなく受験機関や専門サービスをしっかり利用したほうが効率が間違いなくいいこと、モチベーションを保つ仕組みづくりが重要で、私の場合はそれが勉強仲間を見つけること、などです。
知財業界って将来明るいの?
事実として、国内特許出願件数はずっと減少傾向にあるけど、
時代の変化でなくなるような職種ではなく、むしろ技術革新と共に重要性は増す分野なので、
そんなに暗いことはないと思ってます。
おすすめの転職先、今後の知財キャリアの形成
一般論としておすすめするほどのものはないので、個別に聞いてください!
色々書きましたが、やっぱり人によるって要素が多いので、ぜひ相談に来られてくださいー。
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