特許を読みながらzoom飲みしよう会 告知&過去ログ
2020/07/27
「特許を読みながらzoom飲みしよう会」というのを隔週で土曜の夜に開催しています。
勉強会と飲み会の中間くらいのイメージで、毎回ひとつ特許ネタ決めて、それについてわいわい話しながらお酒を飲む感じです。特許の取り方や書き方や戦略や狙いなど、みんなで一つの特許公報を読むと色んな話題が出てくるんじゃないかと思います。
ずっと家に引きこもりの生活が続いているので、皆さんのガス抜きかつちょっとした学びの場になればいいなと。今後、隔週で開催していく予定なので、いつでも気軽に参加してください。知財に興味のある方なら誰でも参加OKです。
この記事を更新する形で、最新回の告知と、過去ログをまとめていくことにします。
過去ログは、私が勉強になった点を中心に簡単にメモ書きしていく感じです。
次回募集(2020/8/8)
次回は、パテントサロンさんが企画した「知財系ライトニングトーク #9 拡張オンライン版 2020 夏」を題材にしようかと思います。
たぶんですが、知財業界で最初にライトニングトークを企画したのがパテサロさんで、私も初回から参加させてもらってます。
凄く好きな企画で、コロナ禍の現状は、拡張オンライン版として、youtubeなどに各々がアップしたものをページにまとめて、誰でもいつでも見られるような形で企画を続けておられます。
でもライトニングトークって、みんなで同時に聞いて、感想をわいわい言い合うっていう体験が楽しいなと思ってるので、
今回は、みんなで同じテレビ番組を見ながらオンライン飲みをするような感覚で、投稿されているライトニングトークをみんなで一緒に観ましょう。
今まで一番緩い企画かな。これまで参加しにくかった方も、ぜひ気軽にご参加ください。また、題材としての使用を快諾くださった大坪さん、ありがとうございます!
こちらの申込フォームから、ぜひご参加ください!
以下、過去ログです。
第6回(2020/7/25) オープンイノベーション モデル契約書
第6回は、経済産業省と特許庁が発表した「研究開発型スタートアップと事業会社のオープンイノベーション促進のためのモデル契約書ver1.0」を題材にしました。
大企業とスタートアップとの共同開発の際、スタートアップ側の法的知見の不足により、大企業側に有利な契約が多いという実態を背景にしたもので、契約書雛形だけでなく、その逐条解説まで付いている、非常に豪華で有益なものです。
参加者は、弁護士さんや企業法務の方中心でした。本件に関わりが深い方や、バリバリの契約法務やってる方も来てくれて、議論が深堀出来ました。すごい勉強になった。
時間の関係で、読んだのは共同開発契約書のみです。
・個人の感想ですが、やりすぎじゃないかと心配になるくらい、スタートアップ寄りの内容でした。こんなに主張しちゃってもいいのか。
・思想として、事業価値の総和の最大化を図るというのは納得。
・2条で単独発明と本発明(共同発明)とを定義してるけど、実務的にはこの切り分けって難しいよねと言う実務コメント。契約での工夫は7条8項での本発明の推定規定。運用では、先に出願しちゃうとか発明ノートが工夫になって、さらにバックグラウンド情報の管理とかもするんですね。
・3条の役割分担って、抽象的な内容の割に効果はしっかりある条項で、怖いよねという実務コメント。
・5条の経費負担、大企業側が全部負担するという内容だけど、上限と条件決めないと怖いという実務コメント。
・安易な権利の共有はだめで、共同発明であってもスタートアップ側の単独帰属にすべし、という強い主張は、理屈は分かるけどドキドキしちゃう。それなら開発費用の分担や、開発成果の対価を主張しないなど、バランスの取りどころとしてのオプションが欲しい感。でもまあ、スタートアップ側の技術力次第か。本事例だと、スタートアップ側がすごい新素材を発明していて既にその特許も押さえていて、それを使わないと出来ない(そのスタートアップと組まないと出来ない)製品を作るというシチュエーションだから主張できる内容ということですよね。IT系で例えるなら、凄いAIエンジンを持っているスタートアップに、大企業が特定用途のデータだけを提供して特定用途向けにカスタマイズしたAIを作るみたいなときだと、同じような主張ができるかも。
・スタートアップ側単独帰属の場合のリスクである、スタートアップが破産等して権利が不安定になることの手当てとして、7条6項に破産等したら権利を無償で譲り受けるよう求めることができるようになっている。なるほど。ただ、ここで記載の「甲が本契約14条1項2号および3号のいずれかに該当した場合には」は多分16条の誤記。
・7条12項で、改良発明も同じような条件で取り扱うよという規定。改良発明かどうかを判断するのも難しいよねという実務コメント。これまで判断したことないけど、確かに相当難しいし揉めるんでしょうね。
この辺でタイムアップ。非常に刺激的な内容で勉強になりました!
第5回(2020/7/11) IPX特許業務法人の特許
第5回は、業界で話題になったIPXさんが取得した特許(JPB6709924)を題材にしました。
本特許の明細書を書いた弁理士さんが降臨してくれて、議論がはかどりました。これも裏話もあったかもなので、あんまりここには詳しく書かないですが、
・発明の特徴と進歩性のポイント
・本特許の回避策。回避策があり得るけど効果は劣化する場合、どの程度までカバーできるように書くか。
・新型ト書きの書き方。
・各特許事務所が納品時にしている工夫。企業知財側が求めること、チェックポイント。
・明細書作成支援ツールって意外といいのないよねって話と、明細書チェックツールの話。
などが話に上がりました。
第4回(2020/6/27) AI・IoT技 術の時代にふさわしい特許制度の在り方
第4回は趣旨を変えて、特許公報ではなく「AI・IoT技
パブコメに付されている政策内容ですが、今後の法改正の方向性を知るということ以上に、今論点となっているテーマの把握と現行法上での実務指針を理解するという意味で、重要な内容だと思います。
これまでの参加者とは少し層が異なり、特許事務所の人はおらず企業知財部中心に、一部公職っぽい人や弁護士さんなども参加。思っていた以上に熱い議論になりました。
勉強になったポイントとしては
・他業種との連携・係争が増えてるよねという話
・AIコア発明の特許成立状況(Gが強い基本特許ぽいの持ってて、普通にOSS使ってAIサービス立ち上げる分には実質的なリスクは無さそうだけど、逆鱗に触れると怖いかも)
・どういう特許を持つかよりも、どのプラットフォームを使ってサービスするかの方が、特許係争の時に何ができるかに影響を与えるのでは議論
・海外サーバ問題⇒メインカテゴリーは方法クレームにすべき議論
・裁判の早期決着のため(スタートアップにも使えるような制度にするため)に2段階訴訟が議論されてるという話
など。
非常に盛り上がって、資料の半分も読み終わらなかった。今後も特許公報以外も題材にしていくことにします。
第3回(2020/6/13) 最近のAIベンチャーの特許 HEROZ
第3回は、最近のAIベンチャーがどんな特許を取っているか見てみようということで、私が個人的に好きなHEROZの特許2件(JPB 006498377、JPB 006632180)を題材にしました。
参加者は10名くらいで、企業知財部と事務所弁理士が半々くらい。
・AIベンチャーの特許出願の内容、意外とAIコア発明は少なく個別分野のアプリケーションが多いよね、しかもその特徴はAI部分じゃないこと多いよねという話。
・同時期に出されている2件だけど、担当が違うのか、書き方が全く異なっていて、その辺の書き方の話。
・発明の課題と効果をどこまで書く?一応項目は作ってあっさり書く派と、そもそも項目自体要らない派。普段気にしてない人も意外と多かった。
・請求項に〇〇部という書き方をするかしないか。最近はしない企業増えてきてる。
第2回(2020/5/30) 特許庁が取った特許
第2回のテーマは、特許庁が始めた取得したということで話題になった特許(JPB 006691280)です。
裏話的・ネタ的な話題が多かったので、ここにはあまり書かないけど、
・進歩性あるのか?という感想はわりと共通
・権利の広さについて、文字数多いけど当然の記載が多いからそんなに限定してないのでは派と、限定しすぎ派で感想結構分かれてた
・背景技術からのストーリーは、項目自体はちゃんと書いてるけど内容薄いのは、今のトレンドだよねという話
など
第1回(2020/5/16) ソニーのゲームプレイを隣で見てくれる友達ロボット
第1回は、先日複数のテック系メディアで取り上げられた「ゲームプレイを隣で見てくれる友だちロボット」に関する特許(JPA-2018187712)が題材でした。
過去ログ書くのが遅すぎて、具体的な議論内容忘れちゃったのですが、印象に残ってる話として、
・〇〇部という構成要件列挙のクレームはもう古いのでは議論
・サーバは複数構成になってる現状、サーバ装置というクレームは使いにくいのでは議論
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