今週の知財ニュース(ドワンゴ-FC2特許商標訴訟、IoT特許分類、著作権判例百選)
そろそろ今年の終わりも見えはじめてきました。来年のことをじっくり考えないといけないなと思います。
さて、今週の知財ニュース。
特許情報プラットフォーム機能追加・改善予定について
J-Platpatの機能追加予定、今年末にようやく、固定リンクがつくようです。
こういうブログとかTwitterとかでの情報発信がやりやすくなりますね。
http://www.inpit.go.jp/j-platpat_info/othersinfo/h28fytbd.html
抗がん剤の特許めぐり「大合議」で判断へ 知財高裁
新たな大合議判決案件の指定。
薬剤特許の延長問題は、製薬業界にとっては死活問題なのでしょうが、本当にポンポンと重要判決が出ていて、追いかけるのが大変。
http://www.asahi.com/articles/ASJCL2JS3JCLUBQU004.html
米FC2を提訴、ドワンゴ川上会長の真意 「ブロマガ」商標権巡る訴訟合戦の背景
ガチンコの殴り合いに発展しました。
サーバが海外にある場合の域外適用の話だったり、運営実態がはっきりしない場合のエンフォースメントの話だったり、今後の重要な指針になりそうです。
それにしても、知財訴訟はカウンターがつきもので、訴訟を提起したらカウンターされるリスクを考えないといけないと言われますが、最初に攻撃的な訴訟をしたFC2側はその辺どのような評価だったのでしょうか。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/111500485/?P=1&rt=nocnt
特許庁、「IoT」を特許分類に追加−事例の収集容易に
Iotに関する特許分類の追加。
特許分類の整備は大事なことです。私も特許庁時代にGPSに関する新しい分類を作って分類付与するという案件に関わったことがありますが、それが2008年頃(GPSが出てきて10年以上後)だったことを考えると、今回の対応は素早く、特許庁はIoTに対してかなり積極的な姿勢を見せているなと思います。
過去特許の分類の付与は大変な作業ですが、おそらく、今やっているIoTテーマの技術動向調査を利用しているんじゃないかと予想。
http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00406794
出版差し止め仮処分取り消し=著作権判例集の改訂版-知財高裁
大渕教授の旧版編集への関与の度合いなどから、「実質的にはアドバイザーの地位にとどまる」と指摘し、著作者とは言えないと判断。
判断の線引きが非常に難しそうです。
出版されたら凄く売れるでしょうね。今回の判決解説も挟んでほしいな。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016111500864&g=soc
米国法人、規格特許で独禁法違反 公取委発表
特許ライセンスの交渉を推し進めるために差止請求をちらつかせるというのは、ありがちな手法ですが、標準必須特許の管理企業がそれをやると、独禁法の問題が生じえる。ということでしょうか。
http://mainichi.jp/articles/20161119/k00/00m/040/026000c
プロダクト・バイ・プロセスクレーム 知財高裁判決
PBPクレームについて、最高裁判決の厳しい判断基準を緩和するような知財高裁判決が出ているので、紹介しておきます。
物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合(いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームの場合)において,当該特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合するといえるのは,出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか,又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られると解するのが相当であるところ(最高裁判所第二小法廷平成27年6月5日判決・民集69巻4号700頁参照),本願補正発明1及び2に係る前記の各記載は,いずれも,形式的にみれば,経時的な要素を記載するものといえ,「物の製造方法の記載」がある,すなわち,プロダクト・バイ・プロセス・クレームに該当するということができそうである。
しかしながら,前記最高裁判決が,前記事情がない限り明確性要件違反になるとした趣旨は,プロダクト・バイ・プロセス・クレームの技術的範囲は,当該製造方法により製造された物と構造,特性等が同一である物として確定されるが,そのような特許請求の範囲の記載は,一般的には,当該製造方法が当該物のどのような構造又は特性を表しているのかが不明であり,権利範囲についての予測可能性を奪う結果となることから,これを無制約に許すのではなく,前記事情が存するときに限って認めるとした点にある。
そうすると,特許請求の範囲に物の製造方法が記載されている場合であっても,前記の一般的な場合と異なり,当該製造方法が当該物のどのような構造又は特性を表しているのかが,特許請求の範囲,明細書,図面の記載や技術常識から明確であれば,あえて特許法36条6項2号との関係で問題とすべきプロダクト・バイ・プロセス・クレームに当たるとみる必要はない。
http://ipforce.jp/Hanketsu/jiken/no/11521
英裁判所、国内利用者トップ10に入る海賊版サイトのアクセスを禁止する措置
イギリスで、海賊版サイトのアクセスをブロッキングする措置。
サイトブロッキングについては、国ごとにだいぶ判断も考え方も違いますが、日本ではどうなっていくんでしょうか。個人的には、通信の秘密の問題であるということ自体が腹落ちしていません。
http://business.newsln.jp/news/201611110316300000.html
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