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特許事務所、独立開業のための準備

      2016/02/22

気分転換に、事務所の独立開業のために必要な手続き・準備などについてまとめて残しておこうと思います。

私が開業するに当たっても、色んな人のブログなどを参考にさせてもらいました。これから独立を検討する方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。

士業全般の、独立するにあたっての心構えとかノウハウとか営業の考え方とかも書こうかと思いましたが、それを書きだすとなんだか偉そうな内容になる気がするので、とりあえずは手続き的な準備の話をします。

なお、私は特許会計事務所という形態で開業をしていますが、基本的にやっていることは特許事務所に近いので、「特許事務所の開業のための準備」ということになります。

 

ToDoの整理

開業ToDo

何事でもそうですが、大きなことをやるには、まずはタスクの整理が必要ですね。

これが、実際に私が開業用に整理したToDoです。
前提として、私は、10月末に開業を決めて、11月頭に会社に言うと同時に準備を始めて、12月に会社を辞めて、1月に開業というスケジュールです。

タスクは、場所系と、開業準備系と、営業準備系と、開業後の手続きの4つに分けて整理しました。これとは別に、具体的な営業プランをまとめたファイルがあるのですが、そっちは秘密。

 

場所系

SOHO契約

まずは、場所をどうするか。

私の場合は11月には同居人との議論の上、お台場のSOHOに決めていたので、12月に手続きをするだけでした。

でも、開業に当たって場所をどこにするかは非常に重要です。特に士業の場合はネットとPCさえあれば出来る仕事が多いので、①自宅でやる、②バーチャルオフィスを契約する、③レンタルオフィスを使う、④オフィスを借りる、といった選択肢があります。

実際に開業してみた感覚として、①と②はあんまりおススメしません。打ち合わせは客先でやればいいと言っても、お客さんがオフィスに来たがることも多いですし、自宅やバーチャルでは、その時の信用力に弱いからです。

結局、初期の資金があれば④で、なければ③といった感じかなと思います。私は複数人でオフィスを借りてシェアしているので、その中間といった感じ。

デスク等購入

買うだけですけどね。組み立てるのが大変

ネット契約

オフィスでの仕事環境を早期に整えるために、早めの準備が必要

電話契約

これも色々選択肢があって、悩ましいところ。

外出が多いため、普通に固定回線を引いても電話に出れないけど、03番号はやっぱり欲しい。私はスマホに転送するような形にしています。

 

開業準備系

印鑑証明書

出願ソフトを使用するために電子証明書が必要で、その電子証明書を入手するために印鑑証明書が必要となります。当然、その印鑑証明書の入手のためには実印が必要となります。

実印と、士業印を同時に購入しました。あと、事務所の角印も必要です。どこで買ってもいいんですが、電子印影をサービスで付けてくれるところだと、便利です。

士業印は、角印と丸印とで悩みましたが、弁理士は角印のほうがスタンダードなのかなと思います。大きさは中間くらいにしました。大きすぎると使いにくそうなので。

印鑑証明書は、後段の手続きのために必要なものなので、早めに入手しましょう。

戸籍謄本・住民票

これも、電子証明書の入手のためや、その他もろもろで使うので、早めに多めにもらっておきましょう。

弁理士会登録変更

実際の開業の少し前から、従たる事務所として登録しておくと、何かと手続きが便利だったような気がします。

ところで、事務所の名前も少し悩みました。シンプルに自分の苗字にしましたが、これで良かったのかどうか。

特許庁 識別番号付与請求

過去に代理などをしたことが無い人は、特許庁に識別番号を請求します。

出願料などの引き落としの設定のために識別番号が必要で、引き落とし設定が完了するまでに1か月ほどかかるので、開業の1か月半前くらいにはやっておく必要があります。

電子証明書

インターネット出願の使用のために必要なもの。いくつか選択肢はありますが、民間の電子証明書を購入しておくのが一番汎用性がありそう。私はセコムにしました。弁理士組合に聞けば、クーポンコードを貰えます。

インターネット出願ソフト

出願用のソフトをダウンロードして設定します。慣れるまでは大変。

描画ソフト

図面を書くようのもの。ソフトウェア系だとパワポでもいいんでしょうけど、VISIOが一般的なのかな。イラストレーターも使ってます。

会計ソフト

経営をするのなら、経理はしばらくは自分でつけた方が経営・営業戦略ともリンクしていいかなと思います。単純な経費の入力はやってもらったほうがいいけど。

Freeeと悩んだ結果、やよいの青色申告オンラインを使ってます。あんまり評判良くないっぽいけど、私は気に入ってます。クラウド会計ソフトは、やっぱり便利です。

請求書・受領書・見積書等作成

この辺の書類のひな形も作っておかないとね。

Excelでいったんは手作りしましたが、結局請求書等の整理はMISOCAというクラウドサービスを使っています。便利。

封筒

主要なサイズの封筒は、事務所名や住所を印刷したものを用意しました。

イラストレーターでファイル作って、プリントパックで印刷。

これは最初から作っておいて良かったと思います。

銀行口座作成

事務所(個人事業主)だと、屋号付きの口座名を頑張れば作れるのですが、営業の実績とかが必要で、開業スタート時には間に合わないので、個人名義の口座をもう一つ作って、それを事業用にしました。

特許庁引き落とし設定

特許印紙代の支払いにはいくつか選択肢がありますが、口座引き落としが一番楽かなと思います。

特許庁に「住所変更届」と「事務所移転届」

オフィス契約前に諸々の手続きを進めたので、契約後に移転届が必要。といってもインターネット出願ソフトから簡単にできます。

 

開業準備系はこんな感じ。

ある手続きをするためには、別の手続きを済ませていないといけないとか、それに意外と時間がかかるとか、順序の制約があったりしてわりと複雑なので、いったん全部洗いだして一つ一つ進める必要があります。

 

営業準備系

事務所HP作成

私が一番時間をかけた準備がこれです。

結局、事務所のHPを作る過程で、自身の強みを整理して、サービス内容や料金体系も決めて、どういうコンセプトで売っていくかを考える必要があるからです。

具体的なことを書かないシンプルなHPにすることもできますが、どうせこの辺を詰めないと営業が上手くいかないので、しっかり時間を取って考えて、内容のあるHPを作ることをお薦めします。

私の場合はわりと慣れているので全部手作りですが、慣れていない人は外注した方がいいんでしょうね。でも、月々のランニングが必要なものではなく、初期の作成だけ親身にやってくれるようなところのほうがいいと思います。

あと、実際に経営しながら、頻繁に手直しが発生します。

事務所メール作成

HP作成のときに独自ドメインをとってサーバ借りるので、それに合わせて事業用のメールアドレスも作ります。

私の事務所のサーバはさくらですが、さくらのメールを使うとどうしても迷惑メール扱いになってしまうので、GoogleAppsを使いました。最終的に大人数になったら費用が少し痛いですが、少人数のうちはとても便利。

パンフレット

パンフレットも手作りです。

イラストレーターで作ってプリントパックで印刷。デザインは難しいですが、内容面はHPがしっかり出来ていればそれを使うだけ。

名刺

名刺も、イラストレータで作ってプリントパックで印刷。

デザイン悩んだけど、シンプルなものにしました。このへんのデザインは、クラウドソーシングを使うのも良い選択肢だと思います。

開業プレスリリース

営業と、SEO的に、プレスリリースサービスを使おうかと検討しましたが、悩んだ結果辞めました。

あんまり意味ないかなと思って。やっても良かったのかもしれません。

Googleマイビジネス

意味あるのか分かりませんが、Googleマイビジネスは設定しました。あとはFacebookページも一応作成。ブログの方のFBページがあるから、あまり運用していないけど。

 

営業準備系はこんな感じ。

自分の強みを整理して、ポジションをしっかり考えて、どういうサービスをどう売り出すのか検討するのが重要です。それを基にHPを作れば、あとは色々進めるだけ。

あと開業のタイミングで名刺管理にクラウドサービスのEightを使いだしました。これはもっと早くから使っておけば良かったと後悔するくらい便利。

開業後の手続き

弁理士会 退職届

退職証明書がないと手続きできないので、退職後に従たる事務所から削除することになります。

保険・年金切り替え

意外にお金かかるんですよね。でもしっかりやりましょう。

開業届出届、青色申告

税務署に出す書類。書くのがとても面倒なので、ネットでフォーマットを拾って記入して持ってく方が楽かも。

開業報告書

税務署ではなく、県税事務所のほうに提出する必要がある書類。忘れがち。

 

 

ふう、ざっとこんなものかな。結構面倒なことが多いです。でもこの面倒を乗り越えて開業すると、上手くいけばとても楽しいです。

もちろん、こういう手続き的な準備よりも、いかに営業を頑張るかと、一つ一つの案件を丁寧にしっかり進めることが重要です。

営業ノウハウについては、また気が進んだら書いてみようかと思います。

 - 弁理士

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