テスラ・モーターズ、特許オープン戦略の意図は?
2015/02/22
と発表しました。
「オープンソース化が電気自動車技術の進展を促すことを期待」、と。
とても興味深いですね。
とても興味深いですね。
テスラ・モーターズの日本への出願は40件強、米国への出願は400件強、
特許の多くはバッテリ関連です。
CEOのイーロン・マスク氏は、PayPalの創業者でソフトウェア業界出身ですが、
自動車・エレクトロニクス業界で、オープンソース的な話を聞くのは珍しい気がします。
どんな意図なのでしょうか?
EVの普及のため、一番の課題はインフラの整備です。
そしてそのインフラは規格が統一される必要があるし、
インフラに設備投資するには、EVの普及が見込まれないといけない。
(卵が先か鶏が先か、という感じですが)
そのためには、自社だけの力ではなく、自動車業界全体がEVに着手するのが早道。
とは言え、単にすべてをオープンにするだけでは、
コモディティ化して、価格競争に巻き込まれ、シェアが低下する恐れがあります。
オープン・クローズ戦略を考えたときに、
EVの製造自体やインフラ部分はオープンにしたほうが、市場の拡大に繋がる。
開発で先行しているテスラ社が守るべき領域、優位を保つべき領域は、
少し違うところにあるのでしょう。
また、クローズのための手段は、特許だけではない。
真似できない技術や、ブランドや、ノウハウや、標準技術の土台になるところ。
そこを抑えつつ、EV市場はオープンにして拡大を推進する。
そして「誠意ではない」企業については権利行使の可能性も捨てない。
自社の独占よりも、まずはパイを大きくすることが優先事項。
市場が大きくなれば、
その割合の多くを取ることができる自信があるのでしょう。
単に防衛目的で持ってるだけで、特段の活用をしないのであれば、
協力的な企業にはオープンにするよー、と宣言してしまうのも、
有りな戦略だなーと思いました。
関連記事
-
-
知的財産統計会合 トピックス
知的財産統計会合に出席してきました。 知的財産統計会合は、政府関係者、学識経験者 …
-
-
エンタメ系IT業界 知財座談会(smips)
今週土曜日、1/14(土)の17時から、「エンタメ系IT業界の動向まるわかり!? …
-
-
任期付審査官の採用復活と、FA11のその後
任期付審査官の採用が復活しましたね。http://www.jpo.go.jp/c …
-
-
TPP、なぜ知財でもめるのか
先日のWikiLeaksが公開した文書から、TPP・知財面では完全合意はかなり難 …
-
-
知財制度(特許・著作権)と知財戦略の論点・ポイント メモ
各論点のメモ書き。本当は、知財制度の体系的な論点整理や、企業における知財戦略とは …
-
-
IP Force × IPFbiz ~IP Forceの中の人と話してみた~
今年から企画している対談シリーズ「○○×IPFbiz」ですが、前回の企業法務戦士 …
-
-
TPP知財(続)
先日の記事で、TPP知財分野が揉める理由として、国際社会における知財制度の実質は …
-
-
オープン・クローズ戦略 知財戦略の参考図書
オープン・クローズ戦略の参考図書を2つ紹介します。1つは、小川先生の最新著書、 …
-
-
2014年知財ニュースまとめ ~クロスワードパズルで~
今年最後のブログ更新になります。 2014年に起こった知財関連ニュースを振り返っ …
-
-
法解釈と審査基準
7/1に、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定がされました。 色々な意見を見 …
- PREV
- STAP細胞の特許出願取り下げ
- NEXT
- 特許公報への直リンクと、特許公報の著作権