知財テック(IPTech)について
先日、リーガルテックマップなるものを見つけました。
先日クラウドサインの橘さん@d_ta2bana がまとめられた日本の主要リーガルテック企業群の図がとても素晴らしかったので、弊社でも作成しました!#LegalTech #Japan #リーガルテック pic.twitter.com/CLOklthGVG
— LegalScript@本店移転登記をDIY (@ScriptLegal) July 14, 2018
なるほど、分かりやすいですね。
近年、○○Techという言葉がはやっていて、各分野にテクノロジーを用いた新しいサービスが生まれています。リーガルテックもその一つで、上記のマップに登場するような新しい企業・サービスが登場して、業界を盛り上げています。
ここでは、リーガルテックの中に、ToreruやCotoboxなど商標系のサービスも含まれています。
こういう流れを見ると、リーガルテックという動きが近年出始めていて、その一環として知財系でもテクノロジーを生かしたサービスもいくつか登場している、というように見えます。
しかし、知財業界にそれなりに古くからいる私からすると、こういう見え方には異を唱えざるをえません。
「最新のテクノロジーを駆使した知財系のサービスなんてものは、何十年も前から多数存在しているんだ」と。
最近、裁判手続きの電子化がようやく議論されているようですが、日本の特許庁は1990年には世界に先駆けて電子出願の受付を開始しています。
1996年にはインターネットによる民間の特許検索サービスが登場し、以来、自然言語処理を用いた自然文での類似特許検索や、テキストマイニングを用いた特許分析、様々な統計手法を用いた特許分析の可視化、SaaSでの特許管理サービスなどが早い段階から登場しています。
ビッグデータなんて言葉がはやる何年も前から、何万件という大量の特許を分析する試みがなされていました。
もちろん、AI(機械学習)を用いた新しいサービスも数年前からいくつか出ています。
知財系のツールは大きく「検索」「管理」「分析」の3種類があり、大企業ではそれぞれのツールを導入して業務を効率化しています。多くのベンダーが工夫を凝らしたツールを開発していて、それらは特許情報フェアという知財系サービスの展示会で見る事もできます。
元々、知財業界とテクノロジーは、分野としても人としても相性がよくて、古くから最新のテクノロジーを駆使した知財系のサービスは開発されてきました。
はっきり言って、リーガルテックなんて出遅れていて、知財系のテックサービス(IPTechと呼びたい)は、もっとずっと前からたくさんあったんだ、と。
・・・なんていうのは、知財業界のちんけなプライドですね。
世の中的には全くそのようには受け取られていません。やっぱり最近のリーガルテックサービスは、ニッチな知財サービスとは異なる勢いがあります。ビジネス設計や見せ方は見習わないといけない。
また、知財業界でも、最近登場したTreruのような一般向けのサービスは、これまでの専門家向けサービスとは異なり、広い範囲に影響を与えて実績も出しています。
IP Samuraiのような、これまで無かった分野のサービスも登場してきています。
きっと今後も、AI系の技術の急速な発展によって、これまでとは違うスピード感と影響規模で、それこそ専門家を不要ともしうるような影響力で、新しいサービスが登場してくるでしょう。
こういう、新時代のIPtechサービスについては、感度を上げて、積極的に使っていきたいと思います。
(本当は自分なりのIPTechマップを作ろうと思いましたが、力尽きたのでまた今度)
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