IPFbiz

知財・ 会計・ビジネスニュース

特許はイノベーションの指標となるか? イノベーション企業ランキング

   

少し前に、世界の革新企業トップ100に、日本企業が多く選ばれ、米国を抜いて日本が世界一になったというニュースが出ていました。

トムソンロイターが発表した「Top 100 グローバル・イノベーター2014」です。
これによると、100社の中に日本企業が39社も選ばれ、世界で最も多くイノベーティブな企業を輩出している国が日本となり、日本のイノベーション力が遺憾なく発揮されています。

・・本当でしょうか? ちょっと違和感が。

イノベーション企業ランキング by トムソン

受賞した企業はトムソンのHPから見られます。
どれも立派な大企業であることは間違いないのですが。リストはこちら。

イノベーション企業100

この分析では、イノベーションの指標として「特許」のみを用いています。

特許の出願件数だけではないのですが、用いているのは、
件数と、特許査定率と、グローバル出願率と、被引用率の4つのパラメータです。

結局は、グローバルにたくさん特許出願している企業が選ばれる、ということになっています。

もちろん、イノベーティブな研究開発は特許へと実を結ぶことが多いのは事実ですが、特許の出願件数は、その企業がイノベーティブかどうかとは異なる点に影響を受けているように思います。

仕事上、特許の動向分析をよく行っていましたが、古くからの日本メーカー同士の動向は特許分析からよく見えるものの、新しい産業の新しい企業など、それがイノベーティブな領域ほど、特許件数からその勢いを図ることは難しく、特許と実態との差が出てしまうものです。
特許という指標のみから、イノベーション企業を分析するという手法には、ちょっと違和感を感じてしまいます。

イノベーション企業ランキング by Forbes

さて、イノベーティブな企業ランキングは、いくつかの手法で様々な機関から発表されています。

その一つが、世界最大のビジネス誌Forbesによるもの。
The World’s Most Innovative Companies List – Forbes

これによると、1位はクラウドサービスのSalesForce、2位は製薬企業のAlexionで、3位がARM Holdingsです。
その他、上位にはAmazonやVMsareなどが並び、日本のトップは楽天の17位です。

この分析は、時価総額と総資産との差額を見ているため、
イノベーションにどれだけ期待しているか、と言っていますが、ブランド力を含めた無形資産の総額のようなもの。

これもちょっと違うかも。

イノベーション企業ランキング by MIT

まだあります。

MITの機関誌であるMIT Technology Reviewが、昨年の実績に基づく「50 Smastest Companies」(世界で最も革新的な50社)をランキング形式で発表しています。

50 Smartest Companies MIT

結果はこんな感じ

smartcompanies

ランキング指標の詳細は不明ですが、イノベーションが起きているかに焦点を当てており、評判は重要視していないということで、FacebookやAppleは上位に含まれていません。

 

イノベーション企業ランキング by ボストンコンサルティング

最後が、ボストンコンサルティングによるもの。

The 50 Most Innovative Companies In The World

世界中の1500人以上の著名な経営者に対して最もイノベーティブな企業を選んでもらい、更に直近3年間の株価、売上、利益の成長を加味して順位付けしたものだということです。

結果はこちら。

イノベーション企業ランキング

MITによるものとは対照的に、こちらはAppleが1位になっています。
日本企業からは、8位にトヨタ自動車、10位にソニー、30位にソフトバンクがランクインしています。

イノベーションの定義は様々ですが、個人的な感覚としては、このランキングがしっくり来ます。

 

日本のメーカーは、大量の特許出願をしていて、特許分析によると世界でも最も有力な企業になることは確か。
しかし、その大量の特許権が、本当にイノベーティブな研究開発から生み出されているのか、その特許権がイノベーティブな企業活動に繋がっていて、イノベーションを起こしているのかと問われると、それはなかなか難しい。

なんとなく、大量の特許権の上に眠ってしまっていて、特許に関係のない巨人がすいすいと進んでいってしまっているような印象を受けます。

特許権の上に眠る

 - 特許

ad

ad

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

湯浅竜×IPFbiz ~知財教育と最強の知財マン~

対談シリーズ第13回目は、弁理士の湯浅竜さんです。前回の野崎さんからご紹介いただ …

no image
パテントトロールの実態調査レポート

AIA (America Invents Act)の指令で作成された、米国におけ …

2020年の振り返り

みなさん、年末年始はいかがお過ごしでしょうか?私は今回の年末年始は実家にも帰らず …

プロダクト・バイ・プロセス・クレーム 明確性要件に関する審査基準と今後の審査の進め方・判断

プロダクト・バイ・プロセス・クレーム(PBPクレーム)の最高裁判決が出て、知財業 …

今年の振り返りと来年の展望 ~会社を退職して独立開業します!~

今年も「法務系 Advent Calendar」に参加させていただきました!法務 …

特許行政年次報告書2014年版より 押さえておくべき数字と気になる情報

特許行政年次報告書2014年版が公表されましたね。一通り目を通した中で、気になっ …

g
Googleの新しい取り組み”Google Patent Starter Program”は、パテントトロールからスタートアップを守るのか

Googleは最近、パテントトロール対策のための団体「LOTネットワーク」を設立 …

パテントトロール対策団体の比較 ~LOTネットワーク設立~

グーグル、キヤノン、SAPなどにより、 特許連合「LOTネットワーク」が設立され …

パテントトロール
RPXによるパテントトロール保険

  RPXとは RPXは以前にも紹介しましたが、最大規模のパテントトロール対策企 …

特許出願手続きと曜日

特許事務所を開業してから、気になっていたのが、特許出願と曜日の関係。  …