商標「ガチャ」の効力は?
2015/01/27
先日、商標的使用の考え方について書きましたが、平成26年法改正で、条文に盛り込まれるんですね。
商標法26条1項6号「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標」
非常に重要な改正なのに、恥ずかしながらすっかり見落としておりました。。
これで商標的使用は、解釈ではなく条文で切れるようになったと共に、これが抗弁事由であることがはっきりして、立証責任が被告側にあることも明確になったわけです。
うーん。
さて、今回は引き続き商標的使用について。
ちょっと気になっている商標が一つあります。
ガチャ ガチャポンとガシャポンの違い
「ガチャ」というと、今はソーシャルゲームにおける課金システムの一つとして認識されているでしょう。
しかし昔は、「ガチャ」と言えば、ガチャポン、ガシャポンでした。
いわゆる、小型自動販売機の一種で、硬貨を入れてレバーを回すとカプセル入りのおもちゃが出てくるもの。総称としてはカプセルトイというらしいです。
ちなみに、ガチャポンとガシャポン、どちらが正しい呼び方か知っていますか?
答えは、「メーカーによって違う」です。
「ガチャポン」「ガチャ」は、タカラトミーアーツが商標権を有しています。指定商品は9類のカプセル入りのおもちゃの自動販売機等。
一方で「ガシャポン」はバンダイが商標権を有しています。指定商品はおもちゃ等。
最近はやっている妖怪ウォッチのメダルは、必ずガシャポンと書かれていて、ガチャポンとはなっていないはず。
ガチャの商標的使用
まぁこれらについては紛らわしいけどいいとして、気になっているのはソシャゲにおける「ガチャ」
「ガチャ」という商標はNHNも有していて、指定役務は41類のネットワークを利用したオンラインゲームの提供や、ネットワークを利用したキャラクターの画像の提供、等
ソシャゲにおいてガチャ機能を付けるときに、「○○ガチャ」のような呼び方をすると、商標権侵害になるんでしょうか?
既に普通名称化しているようにも思いますが、それは置いといても、機能名にガチャとつけることが商標的使用になるのか。
指定役務をゲームの提供と考えると、ある一つの機能に商標を付したとしても、そのゲームの出所を示すための態様とは考えにくい。
では指定役務をキャラ画像の提供と考えるとどうか。
ゲームの中の一機能としてガチャによるキャラ画像の提供を行っているとして、それ単独を役務として切り出して役務の出所を示していると言えるのか。
単なる説明的な記載ではないのか。
ちょっと判断がつきません。
やっぱり商標の使用って難しいですね。
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