中国韓国特許を無料で日本語調査する方法 ~中韓文献翻訳・検索システム~
IPDLからJ-PlatPatへとサービスが移転するなど、特許庁の情報基盤強化が進んでいますが、中国と韓国の特許文献を日本語で全文検索できるシステムが、特許庁から無償で提供されることになりました。
本稼動はまだですが、11/13から試行版ということで提供が始まっています。
中韓文献翻訳・検索システム
こちらのページから利用可能です。
ざっと使ってみましたが、近傍演算やNOT演算などの検索機能が充実していて、動作も軽く、インタフェースも分かりやすく、結構いい感じです。
トップページから、通常のテキスト検索や出願人で検索するときは、「公報テキスト検索」を選択します。
検索の画面がこちら
上記画面イメージのように、フリー検索条件で、検索項目を選びながら条件を入力していきます。
複雑な検索が必要であれば、下の近傍演算を使ったり、NOT検索条件を使ったり。
単なるAndとORの組み合わせだけでなく、集合式も使えるのが良いですね。
検索結果が出た後、一つずつ読んでいくのであれば「スクリーニング」
スクリーニング画面はこちら。
ページめくりの動作は軽く、キーワード反転機能もあります。
一覧を俯瞰したければ、「検索結果一覧」
ここで、発明の名称や出願人名を見て、気になる公報の番号から公報詳細を見ることができます。
後は、審査の経過情報や、権利の生き死にが分かれば、本気で利用できます。
興味深いのは、スクリーニング画面から、「誤訳報告」が出来ること。
この公報のこの訳が不適切で、正しくはこう表現すべきですよ、という報告をすることができます。
本システムは機械翻訳なので、どうしても微妙な訳が残ってしまう。これを、クラウドソーシング的な考えで、利用者の力を借りて改善していこうというわけですね。
同じように、ヒットしないキーワードの報告もできます。
公的で、利用者の多いシステムならではの工夫で、とても感心しました。
中国特許の重要性
世界の特許文献数のグラフを見ると、中国特許の存在感が強まっていることが一目瞭然です。
特許庁としては、先行技術調査の範囲に中国特許を加えなければと当然考えていますし、
企業としても、中国に事業展開するのであれば中国特許を調査する必要性が高まっていると言えるでしょう。
そんな中、このようなシステムのリリースは有り難いですね。
ただ、中国では質の低い実用新案出願が非常に多く、ちょっと調査してみて危ない権利が見つかったときに、実際どう対応するのかは悩ましいです。
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