5月短答合格者の論文試験対策 公認会計士試験
2015/05/04
今日は公認会計士の短答試験ですね。
受験された皆様、本当にお疲れ様です。
短答が終わって息をつくのも束の間、
結果の出た人はすぐに論文試験対策が始まります。
5月に合格した人は、8月末の論文試験まで3か月しかなく、
12月合格者や過年度合格者に大きく差が付けられている状態です。
短答に専念していて、論文対策をしていなかった場合は、
3か月でどうにかするしかなく、スケジュール的にはかなりキツイです。
どうやって、どうにかすれば良いか、
1年前の自分の経験を思い出しながら、指針をまとめてみました。
参考になれば幸いです。
方針
3か月しか時間がないと、
正攻法での全科目合格を諦めてしまって、
科目合格を狙ったり、変にヤマをはったりしたくなります。
が、時間がないながらも、
奇策には出ないほうが良いでしょう。
一部科目合格狙いで行くよりは、
可能性が低くとも全科目合格できる目のある準備をしたほうが、
合理的だと思います。
おそらく、3か月の期間で予備校の論文対策教材を全てこなすのは、
不可能に近いでしょう。
教材の中で、何をやるのか、何をやらないのかを、
できるだけ早く見極めることが必要です。
それでは、科目ごとに見ていきます。
監査論
基本的な知識は、短答対策でついているはずなので、
論文に向けて必要なのは、
問題を見て、条文集から必要な箇所を探し出す力と、
それっぽい文章にまとめる力です。
まずは過去にどういう問題が出ていて、
どんな回答をする必要があるのか、
過去問を確認することから始めるべき。
一番力がつくのは、答練を解くこと、
あるいは時間がなければ、答練の問題と解答を見比べること。
講義は、できるだけ見たほうが良いですが、
基本的なインプットに、今さら時間を取る余裕はないと思います。
租税法
5月合格者にとっては、一番の難関です。
過年度合格者と大きく差がついている科目であって、
足切りのリスクも一番高い科目。
この科目の偏差値を45以上程度にするのが、
合格への最低条件。
租税法の問題は、
・理論問題
・法人税計算
・所得税計算
・消費税計算
と分かれていますが、
全てを試験時間内で解くには、はっきり言って時間が全く足りません。
時間が足りないのは受験生みんなに共通、
ということは、どれか大問1つ程度捨てても、
十分に合格点が取れることを意味します。
3か月ですべての論点を抑えるのは不可能なので、
出題頻度の重要度による論点の切り捨てとは別に、
点の取りやすさによる大問の切り捨ても、戦略の範囲です。
まず、理論問題は、
条文集を引くことができますから、時間をかければ点を取りやすいです。
理論に関しては、法人税・所得税・消費税、一通り押さえておきましょう。
重要な条文がすぐにひけるように、条文集に目を通しておくことも必須。
そして法人税の計算、
これが得点比率としては最重要。
出題頻度の低い論点は捨てても構わないので、
基本的な論点について確実に点が取れるようにしておくことが大事。
所得税の計算は、
勉強時間の確保具合によっては、捨ててもいい大問かもしれません。
私はこれを切り捨てました。
消費税の計算は、
勉強はとっつきやすいのですが、
間違えるとゴロっと全て落としてしまう、リスクの高い大問です。
やるのであれば、細かい点も含めてしっかり勉強する覚悟が必要。
偏差値50程度を狙うなら、
理論問題をある程度取れるように対策したうえで、
法人税の基本的な論点を落とさないようにする。
その上で、所得税か消費税の計算のどちらかを解ける準備をしておくことが必要でしょう。
講義を全て見るには膨大な時間を要するので、
勉強時間が確保できなければ、
テキストをさっと見てからすぐ答練に入るのがおすすめ。
特に計算は、とにかく問題を解いて、
値が出せるようになることが最重要です。
会計学午前(管理会計)
管理会計の計算は、
短答での対策で、概ね間に合っているはずです。
理論についても、
基本的な知識に抜けはないはず。
他の科目の緊急度合を考えれば、
テキストをさっと見るか、講義をさっと見て、
答練を一部やって終了、くらいでも十分。
会計学午後(財務会計)
理論問題の多さが特徴で、
短答とは若干毛色が異なってきます。
得点の割合も多いので、
時間をかけて、講義を見たりテキストを読んだり、
と正攻法で対策していくしか仕方ないでしょう。
答練も、ここはしっかりと解いていくことをお勧めします。
計算に関しては、短答での仕上がり具合は人それぞれでしょうが、
やはり他の科目の緊急度合を考えれば、
さらっと復習しておく程度に留めるしかないと思います。
企業法
法律の論述科目に慣れていない人にとっては、
苦労する科目かもしれません。
まずは過去問を見て、
どんな問題が出て、どんな論述が出来るようになる必要があるのか、
過去問集の確認から始めるべきです。
改めて、という感じにはなりますが、
講義を聞くかテキストを見るか、というのは、
外せないと思います。
答練は、しっかり解くか、問題と解答を見るだけにするかで、
まったく所要時間が変わります。
自分の状態を見て、選択しましょう。
全く見ないのは良くない。
選択科目
選択科目は、経営学、経済学、民法、統計学から1つですが、
ほとんどの人は経営学でしょう。
経営学に関しては、3か月以内の対策で、
確実に偏差値50以上を取れるようになるはずです。
時間対効果としては、一番おいしいはずの科目なので、
以外に勉強量はありますが、
手を抜かずに、一通り全ての対策をすることをお勧めします。
まとめ
いろいろ書きましたが、
5月に短答合格してから8月の論文合格のために、
何よりも重要なのは、早い初動です。
予備校解答速報で、受かっているかな、と思ったら、
公式の発表を待つことなく、すぐに教材を手に入れて、
論文対策を始めましょう。
時間が無い中でも、
とにかく、「合格する可能性がある状態」
にまって持っていくことが大切です。
なお、本記事はあくまでも5月合格者が、
時間が無い中で、8月論文に向けて「なんとかする」ためのものです。
12月合格など時間のある人は、参考にしないでください。
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