アカシア・リサーチ日本進出 特許管理会社とパテントトロールの違い
2014/08/21
アカシア・リサーチ社が、東京事務所を開設し、日本に進出するようです。
「日本企業の休眠特許を活用する」
とポジティブな書き方がされていますが、
アカシア・リサーチと言えば、典型的なパテント・トロールという認識です。
アカシア・リサーチのビジネスモデルや実態は、
このレポートが詳しそうですね。
米国ではパテントトロール対策の法改正が大分進んでいますが、
そのため日本へ市場を変えた、という日本進出であれば、
あまり日本企業にとって望ましいニュースではないでしょう。
あるいは、日本企業から海外特許を買い集め、
ライセンス先や訴訟は従来どおり米国で行うという、
特許収集目的での日本拠点かな、とも想像します。
ところで、今回のニュースでは、特許管理会社という言葉が使われていますが、
それとパテント・トロールとの違いはなんでしょう?
この関係では、様々な言葉が使い分けられ、定義づけも盛んに行われています。
特許管理会社とか、
パテント・トロールとか、
NPE (Non Practicing Entity)とか、
PAE(Patent-Assertion-Entities)とか、
Patent Monetization Entitiesとか。
直感的に一番分かりやすい「パテント・トロール」
という言葉が、ニュースではよく用いられているように思います。
要するに、特許で金儲けをする悪いやつ、というニュアンスですよね。
そこからは、大学のTLOや半公的なプール団体は除かれるというのが一般的な解釈です。
そこにIntellectual Venturesが含まれるのか?や、
今回のアカシア・リサーチが含まれるのか?といった問題、
あるいは産業革新機構が設立した知財ファンドIPBridgeもトロールじゃないのか?
といった問題は、
結局、見る人がその組織をどう捉えるのか、といった主観の問題に尽きるように思います。
ちなみに、同日に下記のニュースも日経から出ていました。
大学保有の特許、譲渡前に調査を 文科省
一方ではポジティブに紹介しておいて、
他方では注意の必要性も喚起しておく、
中の人もバランスを取っているのでしょうか。
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