知財黒字が1兆円超え!その実体は?
2014/08/21
貿易赤字が続いている中、
「知財収支」の黒字額が2013年度に初めて1兆円を超える見通しだそうです。
「知財収支」の黒字額が2013年度に初めて1兆円を超える見通しだそうです。
知財黒字が1兆円超え!というと、まさに知財立国だ、素晴らしい、
という印象を受けますが、その実体はよく見て考える必要があります。
という印象を受けますが、その実体はよく見て考える必要があります。
「特許収支」や「技術貿易収支」など、過去の統計では類似の数字が多く紛らわしいですが、
「知財収支」は、特許実用新案意匠権、商標権、著作権といった知財権を海外企業に貸して(ライセンスして)得る金額から、逆に日本企業が支払う金額を差し引いて計算するもののようです。
その実体ですが、
まず、知財収支のうち、特許権等のライセンスによるもの、
技術貿易収入については、その70%以上が、親子関係の取引です。
技術貿易収入については、その70%以上が、親子関係の取引です。
つまり、日本企業の海外子会社から得ているライセンス収入です。
これは単なるグループ内取引であり、親会社が資金を吸い上げる仕組みにすぎず、
実際に特許ライセンスで利益を上げているわけではありません。
アメリカ等と比べると、特に日本は親子関係による収入の割合が高いようです。
また知財収支のうち、著作権に関する収支は、5800億円の赤字です。
クールジャパン政策を推進しており、コンテンツに強いイメージのある日本ですが、
著作権収支は赤字なんですね。
著作権収支は赤字なんですね。
ソフトウェアを米国に依存しているのが主要因だそうです。なるほど。
親子間取引による技術貿易収入を除けば、
知財収支全体は赤字になるのではないでしょうか。
外資企業への技術ライセンスを進めることには、良し悪しの判断が分かれそうですが、
・標準技術に関する収支を黒字に近づけること、
・アニメやキャラクター等コンテンツビジネスの強化、海賊版の取り締まり
といったことが今後の課題になりそうです。
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