Googleの特許買収を調べてみた
2014/08/21
googleによる企業買収のニュースが、毎週のように流れてきます。
すごいペースですね。
すごいペースですね。
非常に華やかですが、これはきっと氷山の一角であって、
ニュースにならない動きも、もっと多くあるはず。
それを、特許情報から見てみたく、
googleが買収・取得した日本特許について調べてみました。
どんな企業からどんな特許を買っているのか。
Googleの日本特許出願状況
まず、googleが最新権利者となっている日本特許は683件。
米国では7000件ほど出願しているのに比べると、
日本への出願はごくわずかですね。
うち、google自身で特許出願しているのは558件、
残りは他社から買収した特許です。
なお、これには、特許のみを買収取得したものと、企業買収の結果特許も付いてきたものの両方が含まれます。
※外部から認識できるのは、買収した上で特許庁に移転登録申請をしたものだけ。本当はもっと多くの特許を買収している可能性はあります。
さて、これらの買収元の企業について、取得件数の多い順に、
見ていきましょう。
Googleの特許取得元企業リスト
1.IBM(83件)
まず、件数が一番多いのはIBMで83件。
2011年にIBMから1000件以上の特許を購入したと知られていますが、
うち日本特許(にファミリーがあるもの)が83件ですね。
通信技術やWeb・検索、動画技術など、割と雑多な集合です。
ちゃんと使えているんでしょうか。
2.富士通(15件)
次いで富士通から15件。
ほとんどがケーブルテレビに関する特許です。
特にニュースなどにはなってないようですね。
2011年に権利移転した上で、
ご丁寧に通常実施権の設定登録もしています。
セールスアンドリースバックみたいな?どういう目的でしょうか。
3.ゼロックス(6件)
ゼロックスからは6件。
2010年にゼロックスがgoogleを特許侵害で提訴していましたが、
提訴以降の状況はニュースに出てきません。
その顛末でしょうか。
権利移転は2012年になされています。
これは、買ったというより買わされたのでしょうね。
残りは僅少ですが、
4.Eyematic Interfaces(3件)
Eyematic Interfacesは顔画像認識技術に強い米国の会社です。
日本特許では3件だけですが、特許を買収しています。
日本特許では3件だけですが、特許を買収しています。
当社の競合でもあった同じく顔画像認識技術(生体認証)に強みのあったNevenVisionは、
googleに企業買収されています。
googleに企業買収されています。
企業買収か、特許のみの買収か、選別しながら買い集めているようですね。
5.The MicroOptical Corporation(3件)
The MicroOptical Corporationからも3件。
ウェアラブルデバイス、ヘッドマウントディスプレイの開発をしていた企業で、
MyVuに社名変更をし、現在は実在していない(と思う)。
Google Glassに関連の高そうな特許を買収しています。
6.PGT Photonics(2件)
PGT Photonicsから2件、うち1件はTelecom Italiaとの共願です。
取得した特許は光通信関連で、
Telecom Italiaはイタリアの大手電気通信事業者ですが、PGT Photonicsは良く分からないです。
7.Like.com(1件)
Like.comから1件
商品画像検索の企業で、2010年にgoogleが企業買収しています。
8.Exbiblio(1件)
Exbiblioから1件
撮像したテキストの処理と動的広告に関する特許です。
9.Xybernaut Corporation(1件)
ザイブナー・コーポレーション(Xybernaut Corporation)から1件。
ウェアラブルPCのトップランナーで基本特許を有している企業でしたが、
2005年に自己破産申請してから、知的財産を基とした再建を目指していたそうです。
これもGoogleGlass関連でしょうね。
「知的財産を基とした再建」なので、買ったというより買わされたのかも。
10.Digital Video Express(1件)
ホームビデオに関する特許を持っていた企業で、
DivXというDVDソフトの新しい課金方式技術を開発した企業ですが、
99年に業務停止しています。
11.Newport Coast Investments(1件)
Newport Coast Investmentsから1件。
企業実態はよく分かりませんでしたが、無線通信技術に関する特許です。
企業実態はよく分かりませんでしたが、無線通信技術に関する特許です。
12.Picasa(1件)
Picasaから1件。
サービス名は有名ですが、2004年にgoogleが企業買収しています。
13.Postini(1件)
セキュリティ技術の企業で、2007年にgoogleが企業買収しています。
Gmailなどのスパムフィルタリングに使われているのでしょう。
14.Mosaid Technologies(1件)
Mosaid Technologiesは、カナダの特許管理会社(いわゆるパテントトロール)です。
ノキアから2000件以上の特許を取得したことで有名ですが、
エルピーダメモリ、Dell、HTC、ソニーエリクソン、RIM、キヤノンなどに特許訴訟を提起しています。
ニュースによるとgoogleは同社から18件の特許を$11 millionで購入したそうですが、
そのうちの1つのファミリーでしょう。
これも、買ったというより買わされたんでしょうね。
15.Motorola(1件)
Motorolaから1件。
2012年にMotorola Mobilityを企業買収していますが、
本特許が譲渡されたのは2010年。
企業買収とは別の事情があったのでしょう。
企業買収で欲しかったのは通信技術の基本特許と言われていますが、
本特許は、ユーザの嗜好を特定して管理するようなシステムです。
16.Widevine Technologies(1件)
Widevine Technologiesから1件。
コンテンツ保護や動画最適化技術を手掛ける米国企業で、2010年に企業買収しています。
YouTubeの海賊版対策と言われています。
17.鴻海精密工業(1件)
鴻海精密工業から1件。
アイウェアディスプレイに関する特許です。
これを含めて、ディスプレイ関連特許を数件売却したそうです。
売却のみならず、網膜走査ディスプレイで提携、とのニュースもあり、
また最近はロボット開発で協力、とのニュースもあります。
以上、ニュースでは分からないことも、
特許情報から分かったりします。
面白いですね。
面白いですね。
関連記事
-
-
2019年の振り返り
今年も残りあと僅かですね。皆さんにとって2019年はどうだったでしょうか? 私は …
-
-
特許審査官の評価
審査官が誰に当たるかによって、審査の厳しさや、面接を受けてくれるか、補正案を見て …
-
-
パテントトロールは悪か? ~特許の適正価値とアービトラージ~
これまでこのブログでも、パテントトロール関連の記事をよく取り上げてきましたが、業 …
-
-
IT系知財のオープンな勉強会やります。 ~気になる特許について語ろう会(第1回)~
これまで、事務所内で定期的に勉強会をやってきました。過去の事例で中間対応案考えて …
-
-
請求項数の多い特許ランキング
特許の小ネタです。 時々、請求項の数が非常に多い特許に出くわします。読むのが大変 …
-
-
中国韓国特許を無料で日本語調査する方法 ~中韓文献翻訳・検索システム~
IPDLからJ-PlatPatへとサービスが移転するなど、特許庁の情報基盤強化が …
-
-
2018年の振り返りと、2019年の抱負
一年の計は元旦にあり!私の好きな言葉です。昨年の振り返りと今年の目標を、しっかり …
-
-
IT・ソフトウェア分野、ビジネスモデル特許、UI特許の取得例の紹介
以前にもちょいちょい紹介していますが、最近特に、IT分野の特許出願件数が伸びてい …
-
-
2020年の振り返り
みなさん、年末年始はいかがお過ごしでしょうか?私は今回の年末年始は実家にも帰らず …
-
-
湯浅竜×IPFbiz ~知財教育と最強の知財マン~
対談シリーズ第13回目は、弁理士の湯浅竜さんです。前回の野崎さんからご紹介いただ …