TPP、なぜ知財でもめるのか
2014/08/21
先日のWikiLeaksが公開した文書から、
TPP・
現在の状況、論点は↓を見てもらうのが一番分かりやすいです。
福井先生による、分かりやすいまとめ
http://internet.watch.impress.
なぜ、こんなにも知財分野でもめるのか。
それは知財制度の本質を考えれば当然のことです。
・発明の保護と奨励?
・産業の発達?
・文化の発展?
もちろんそうですが、国際社会における知財制度の実質は「
先進企業が後発企業へのアドバンテージを守る、
もちろん先進企業が開発費を投資して得た発明やブランドなどを、
今回公開された文書の全体的な目的も、「
しかし、とはいえ、国単位でマクロに見た場合、
現実問題として、各国が保有している知的財産(
先進国が途上国に対して、「TPP加盟国の皆様、
「お前ら、俺の国の権利を侵害したりパクったりするなよ。
もちろん長い目で見れば、途上国も先進国に発展していくべく、
自国で開発された知財をしっかりと保護できる制度は整備していく
今現在の現実問題としては、
発明の保護と利用のバランスだ、とか言っても、
これで揉めないわけがないわけのです。
とは言え、
なので、ある程度えいや!で統一してもらうほうがいいなー、
そのためには、
日本は割といい立場にいると思うので、これは譲れない!
TPP知財交渉の落としどころ
後は私の予想ですが、
多数派(とアメリカ)の押し切りで合意できるかなと思うのは、
- 音・匂いの商標登録(匂いは難しいかもしれないが)
- 電子的な一時記録を複製権の対象に(
よく分からん注記が付いてくると思いますが) - DRMの単純回避規制
- 著作権・商標権侵害の非親告罪化
おそらく、合意できないんじゃないかと思う大きな論点は、
- 特許保護の対象品目拡大(特に診断治療)
- 新薬の保護強化
- 著作権の保護期間を死後70年に延長統一
著作権保護期間の延長なんて、
それで文化が発展するとも思えないし、
この辺を残した部分合意で締結されるんじゃないかな。
実務・ビジネスへの影響を考えると、
- 実現すると著作権保護期間延長は影響大きい
- 音・匂いの商標登録は企業の知財実務としては大変そうだけど。
- 一時記録が複製権の対象と明記されると、海賊版のストリーミングをどう扱うのか、
国民全体への影響が出そうですね。 - 著作権の非親告罪化など罰則強化は、
クールジャパンを目指している日本にとっては後押しとなるのでは。
多分日本にとって、今の議論の状態は言うほど悪い状態じゃないと思います。
少し、追記しました。
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