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知財法務とは 「法務系 Advent Calendar 2014」

      2014/12/14

今回は、「法務系 Advent Calendar 2014」に参加させて頂いてのエントリーとなります。したがって、知財の中でも法務寄りの内容となります。

企画取りまとめ頂いた@shibaken_lawさんに感謝です。またお誘い頂いた@redipsjpさん、ありがとうございます。

さて、どんな事を書こうかと悩みましたが、ちょうど今の会社に転職して半年が経ちましたので、ちょっとその振り返りをしようかと思います。

これまで実務に有用な記事が続いていますが、箸休めとしてゆるりとお付き合いください。


有り難いことに現職では、知財の中でも非常に幅広い仕事を担当させていただいています。

知財の戦略や企画を立てたり、知財観点の法務相談を受けたり、知財分野の政策企画を行ったり、渉外・係争を担当したり、情報発信・啓蒙などなど。

法域も、特許法から著作権法、商標法・意匠法、不正競争防止法など。当然民法全般から会計税理まで関わってきます。

通常の知財部業務とは少し毛色の違う、幅の広い業務内容ですが、これらを一言で表すと「知財法務」という言葉がしっくり来るのかなと考えています。

ということで、知財法務に関する雑多な所感を書いていきます。

 

知財法務とは


「知財法務」でぐぐっても、知財法務とは何かを端的に表すページはあまりありません。

元々知財というもの自体、技術やコンテンツと、法律との双方に関わるものです。

技術を権利として保護して、事業を守り推進するための特許法であったり、コンテンツを権利として保護し、自社のコンテンツを守り他人のコンテンツを尊重してコンテンツ事業と文化を発展させるための著作権法だったり。

したがって、知財業務を行うには、技術内容をしっかり理解する技術力と、コンテンツに関する知識と、法律に関する知見と、そして事業に関するビジネスセンス・経営知識とを併せ持つ必要があると言われます。

しかし、知財の持つ特殊性や専門性が故に、企業の中でも業界としても狭く閉じてしまい、いかに巧みなクレームを書くかといった職人的な領域に終始してしまいがちです。

そのため、技術部門の人から見ると特許を取ってくれる人、法務部門の人から見ると普段は関わることの少ない知財の人、経営企画部門の人から見るとビジネスへのインパクトは特に無い人、という見方をされてしまうことになります。非常に残念。

しかし、本来知財は、このような複数に跨る領域のハブとしての機能を持ち得る、また持つべき部門です。

あえて知財実務と知財法務(企画)とを分けて考えるなら、知財実務はやはり深い専門性があって職人的な知見や技能を掘り下げ、そして知財法務としては、法務部門とも事業部とも経理財務とも関わり、ハブとしての役割を果たす必要があると考えます。

ビジネス法務相談としても、知財に関するものは若干の特殊性があります。特許の抵触性判断だったり、キャラクターの類比判断や商標の類比判断が出来る法務の人は少ないでしょう。また著作権の権利制限規定を全て頭に入れている人も少ないでしょうし、商標の機能侵害論について十分な理解をしている人も多くないと思います。

新しいビジネス企画があるときに、あるいは何か問題が生じたときに、事業部や法務と連携しながら早期にキャッチし、知財法務の適切性を判断して、時には改良案を考え、時には他部署につなげながら、明確なゴーサインを出す。それが知財法務の重要な役割です。

もちろん、法律に不備があるときはそれを発信して必要なところと調整していく、その役割も重要で、セットで持つべき機能です。

そしてそれらの知見を併せ持ちながら、知財のポリシーなり戦略なりを考えていくのがプラスアルファの価値発揮ですね。

 

知財法務の特殊性

一例ですが、新しい企画の法務判断をするときに、法律的にOKかどうかと、倫理的・マナー的・レピュテーション的にOKかどうかの2つの判断があると考えています。

通常は、倫理的マナー的な基準のほうが安全寄り。つまり法律的にOKであっても、ちょっとビジネスマナーとして辞めておいたほうがいいんじゃないかということが多いでしょう。法律判断はある意味ノックアウトファクターであって、それをクリアしたものについて、もう一段安全目な判断を加える感じ。

しかし知財では、特に著作権法域では、その基準が逆転することがあります。

法律的にはグレーなんだけど、倫理的マナー的には全く問題ないということ。厳密な文理解釈をすると、あるいは過去の判例に照らすとグレーだが、これをやっても権利者含めて誰も困らないよね、という事象。

また逆の極端なケースもあります。これは法的には全く問題ないんだけど、さすがにこれをやってしまうと怒られるんじゃないかと。


結局、法律が時代に追いついていないので、適切な法律判断を前提としながらも、様々な背景を踏まえて、取るべきリスクは受容して、止めるべきものは止める判断をしなければいけない。

特許侵害についても同様で、大量にある特許群の中で、ある製品が特許侵害をしているかどうかは、1/0でクリアに判断できるものではありません。

この辺の曖昧性が、事業部の人と話しても、法務の人と話しても、なかなか話が噛み合いにくいところで、知財法務の特殊性かと思います。

尊敬する上司の言葉ですが、知財法は知財の利用を禁止するものではない。知財の保護と同時に適切な範囲での「利用」を促進して、それらのバランスを取りながら産業と文化の発展を目指すものです。

クリエイターに敬意を示しながら、新しいコンテンツビジネスを日本から発信していければと思います。

これまた尊敬するブログの大先輩の言葉をオマージュして、「知財法務戦士」として成長していきたいと考えています。

著作権
・・うーん、本当に雑多で有用性の無い記事になってしまった。
前回書いた知財価値評価の記事は少しは役に立つ内容だったんですが、順番を変えれば良かったかな。

法務系 Advent Calendar 2014」、残りの記事も楽しみにしてます。

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 - 知財戦略

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