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知財業界の就職・転職事情

   

キャリアアップ

リクエストがあったので、知財業界の就職・転職事情について語っていこうかと思います。

私自身は、特許庁・知財コンサル・企業知財部門と遍歴してしまっていて、採用担当も経験していましたし、各業種に友人がいて転職トークで盛り上がったり、エージェントに相談したりもしていたので、比較的、知財業界の就職・転職事情には詳しいほうかと思います。

 

知財業界の人材市場特徴

知財業界は、専門性が高い一方で、企業ごとの独自性が少なく、どこの企業でも概ね同じような知財業務を行い、同じような課題を抱えているため、比較的人材の流動性が高い業界です。

また、知財という専門性・特殊性から、知財業界に入る最初の一歩には、若干の敷居があります。特に文系出身者や未経験者は、少し入りにくいという特徴があります。

さらには、知財という特殊性から、知財業界にどっぷり漬かった人は、他分野への潰しがききにくいという点も注意すべき特徴ですね。

ついでに、狭い業界のため、業界内にやたらと知り合いが多くなり、人づてによる転職割合が高いことや、知財に特化した新興企業の盛衰も激しい分野であることも特徴でしょう。

そんな知財業界ですが、今回は、知財業界における代表的な業種・プレイヤーについて、それぞれの客観的な評判についてまとめていこうと思います。


1.特許庁

審査官としての採用人数は年50人程度と多くありませんが、知財業界のある種中心になるところです。

基本新卒でしか入りにくい特徴もありますが、任期付き審査官という道も出来、採用が継続するかは分かりませんが、昔に比べると枠が広がっていると思います。

基本的には担当技術分野の審査を続けるという、デスクワークかつルーチンワークですが、入庁5,6年目くらいから審査以外の各部署は他省庁への出向・併任の機会があります。

通常の国家一種公務員としての待遇なので、給料は良くも悪くもないという感じです。ただ、他の中央官庁に比べると、ライフワークバランスが取れた仕事がしやすいですね。

 

審査官を7年経験すると、弁理士資格が付いてくるという特典付きです。また審査業務を5年続けると試験科目が大幅に免除されます。私は免除前に通常の弁理士試験を受けましたが、免除で資格取得後に事務所等に転職する人や、定年後に独立する方も、少ないですがいらっしゃいます。

審査の仕事には、向き不向きがあるように思います。
自分の名前・責任で、特許査定という対世効のある行政処分をするというのは、非常に責任のある仕事ですし、様々な最新技術に触れることが出来ますが、やはりルーチンワークで、書面のみのやり取りで他人の発明にケチをつける仕事と捉えると結構しんどかったりもします。

特許の審査官は全員理系ですね。

2.特許事務所

弁理士資格を取得した方は、その多くが特許事務所に勤務します。出願代理業務という弁理士の専権業務を実施できる唯一の場所です。

また、未経験で知財業界に飛び込みたいという人は、まず明細書書きとして事務所に入ることが多いように思います。事務所で経験を積みながら弁理士試験勉強をする感じですね。

独立・開業するか、事務所勤務弁理士となるかで、当然待遇は全く違いますし、事務所によってもブラック・ホワイト具合は大きく異なるようですが、例えば経験者の弁理士35歳で、年収600万~900万くらいかなと思います。普通の日本メーカーに勤めるよりは、給料は少し良いですが、福利厚生を含めて考えるとどうかな、といった感じです。

基本的には明細書作成のルーチンワークなので、これも向き不向きがありそうです。
企業から発注される身であり、代書屋さんなど揶揄されることもありますが、弁理士資格をフルに生かして、自分の能力だけで売上をあげることが出来るというのは、他には無い大きな魅力です。

また独立開業という大きな夢を持ちやすいという特徴もあります。

最近では、特許事務所の中でも、調査・コンサルティングなどに注力している所もあり、事務所勤務弁理士だけど、明細書なんて全然書いてないよ、という人もいるようです。


3.企業知財部門

企業の知財部門は、上記2つに比べると、仕事の幅はかなり広くなります。
知財部門の中でも担当によって業務は全く異なりますし、弁理士や知財業務経験者が経営・企画等の部門に入ることも最近は珍しくないような気がします。

知財業界における様々な業務・動きの根源となっているのは、企業の事業活動ですので、案件の上流から関わることが出来ますし、企業の中にいないと触れることの出来ない刺激的な情報というのも多数あります。

ただ、企業特有の「調整」や組織的な人間関係の面倒さもあったり、待遇という点では、もちろん頑張り次第ですが、通常のサラリーマンです。

4.知財調査会社・コンサル等

上記3つ以外にも様々な知財関係企業があり、とりあえず1つのカテゴリーにまとめてしまいます。
特許の調査会社は大小多数ありますし、知財に特化したコンサル会社や、少ないですが特許の流通・評価に携わる企業も存在します。
知財に特化したシステム(調査・管理・分析)を開発する企業も、選択肢としてはありますね。

このカテゴリーには様々な企業が含まれるので、一概に語れないですが、知財業界で働きたいけど、明細書書きに専念するのは嫌で、メーカーの文化もつまらない、といった人に合う企業もあると思います。

以上、簡単ですが、
知財業界の代表的な業種についてまとめてみました。

次回以降、弁理士に特化した就職事情や、文系出身者からよく聞く悩み、転職時のエージェント利用などについても、書いていこうかと思います。何か聞きたいことがあったらコメントください。

 - 弁理士

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