IPFbiz

知財・ 会計・ビジネスニュース

中国、知財訴訟の損害賠償額を増額へ

      2015/04/16

先日の記事でも書いたように、知的財産戦略本部にて「知財紛争処理システムの活性化」として、損害賠償の在り方について議論がされています。

諸外国と比べると、日本の知財訴訟の損害賠償額が低すぎるのではないかという課題です。

損害賠償額

そんな折、中国でも知財訴訟の損害賠償額を上げる方向での改正議論が進められているようです。
Official says China considers raising caps on damages for IP violations as it seeks innovation

 

中国では、日本と異なり、損害賠償額の推定規定に加えて、いわゆる法定賠償額の規定が定められています(65条4項)。

特許法第 65 条(特許権侵害の損害賠償額計算方法)

① 権利者が権利侵害行為により受けた実際の損害
② 実際の損害が確定できない場合、権利侵害者が権利侵害行為により得た利益
③ 権利者の損失又は権利侵害者の利益のいずれも確定できない場合、当該特許使用許諾料の倍数を参考に合理的に確定する
④ 権利者の損失、権利侵害者の利益と特許使用許諾料のいずれも確定できない場合、裁判所は特許権の種類、権利侵害行為の性質と情状等要素を考慮した上で、1 万元以上 100 万元以下の賠償額を確定できる
⑤ 損害賠償額には権利者が権利侵害行為を制止するために支払った合理的な費用を含む


第4項は、損害額の立証が困難である場合、100万元(2000万円)を上限に裁判所が賠償額を確定できるというものです。

そして実際に、損害額の立証は常に困難であるため、2008年以降の知財訴訟4700件のうち、実に97.25%が法定賠償によるものです。その平均額はわずか8万元(160万円)となっています。


今回の中国の議論は、この法定賠償の上限額を切り上げようというものです。
やはり背景となる課題は日本と同じで、損害賠償額が低すぎるため、外国の法廷で解決を求めようとする企業が出てきているということ。
これまでも、中国における知財損害賠償額は高騰傾向にあったとは思うのですが、まだ足りないということですね。


国の競争力を高めるためには、どのレベルの損害賠償額にするのが適切なのでしょうか。
きっと産業の成熟度や技術競争力によって異なるのでしょうけど、経済的視点からの検討も必要なように思います。

 - 特許

ad

ad

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

今年の振り返りと来年の展望 ~会社を退職して独立開業します!~

今年も「法務系 Advent Calendar」に参加させていただきました!法務 …

書類
請求項数の多い特許ランキング

特許の小ネタです。 時々、請求項の数が非常に多い特許に出くわします。読むのが大変 …

no image
ニュージーランド、ソフトウェアに対する特許権付与を禁止へ

ニュージーランド、ソフトウェアに対する特許権付与を禁止へ 最近、特にIT分野で特 …

g
Googleの新しい取り組み”Google Patent Starter Program”は、パテントトロールからスタートアップを守るのか

Googleは最近、パテントトロール対策のための団体「LOTネットワーク」を設立 …

特許情報フェアの歩き方

さて、来週はいよいよ特許フェアですね。特許フェア初心者の方のために、特許フェアの …

パテントトロールは悪か? ~特許の適正価値とアービトラージ~

これまでこのブログでも、パテントトロール関連の記事をよく取り上げてきましたが、業 …

Googleの特許買収を調べてみた

googleによる企業買収のニュースが、毎週のように流れてきます。すごいペースで …

IPXI(知的財産国際取引所) 取引クローズ

IPXI(知的財産国際取引所)から久しぶりの動きが。   IPXI® …

idea
発明の要旨と技術的範囲認定のダブルスタンダード リパーゼ判決と特許法70条2項の関係

特許発明は、特許請求の範囲の記載によって定められるものです(36条)。しかし、そ …

no image
NECによるLenovoへの特許売却、1億ドルは決して高くない。

Lenovoが、NECの保持している携帯関連特許3800件を買収しました。 &n …