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法解釈と審査基準

      2014/08/21


7/1に、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定がされました。
 
色々な意見を見ていると、
行使容認という「結論」もそうですが、
それに至る「手続き」に非難が多いように感じます。
 
憲法を改正するのではなく、
その解釈・読み方を変えることで運用を変更する。
解釈改憲」などと言われているようです。
 
 
もちろん法律の読み方には一定の幅があるので、
状況に応じてその解釈は変わってくるでしょうが、
過去の積み重ねがある中で、解釈を大きく変えてしまうのは、
やはり民主的でない、と言われても仕方ないですね。
 
 
この件に関しては解釈も微妙だし、
結論にもそれぞれの立場・考え方があるでしょうが、
法律の解釈で運用を変える、と言った時に、
審査基準の改正を思い出しました。
 
ガラッと、知財法の話に移ります。
 

特許審査基準の法的効果

 
特許の審査基準に法的拘束力が無い、という議論は、
よく聞く話です。
 
いわゆる「審査基準」というものは、
行政手続法第5条に規定されています。
 
第五条  行政庁は、審査基準を定めるものとする。
2  行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
3  行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。
 
ここで言う「審査基準」は、行政内部規範であって法規範ではないため、法的拘束力を持たない行政規則ですが、制定手続きが定められていることを理由に一定の法的拘束力を認めるべき、という意見もあります。
 
しかし、特許法においては、上記の行政手続法の規定は適用しないことが定められているため、
特許審査基準は行政手続法上の「審査基準」には当たりません。
 

 

第百九十五条の三  この法律又はこの法律に基づく命令の規定による処分については、行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第二章 及び第三章 の規定は、適用しない。
 

 

したがって、特許審査基準は法規範ではなく、あくまでも審査をする際の判断基準であり、
進歩性等の判断基準、法解釈の指針ということになります。
 
 
逆に、このことをもって、
審査基準が改正された場合に、出願日が基準改正前の特許出願に対して、
新しい審査基準に則った判断がされたとしても(遡及適用されたとしても)
それが法解釈・法の趣旨の範囲内であれば、違法の問題は生じないことになります。
(偏向フィルム事件)
 
 
 
つまり、特許法等の法律の解釈の範囲内であれば、
法律を変えずに審査基準を変えることで、審査の運用を変えても、
特に違法ではない、ということですね。
 
新しい解釈である審査基準が出来た瞬間に、
過去にも遡及してその運用が適用されることになります。
 
もちろん、意匠法・商標法も同様です。
 
 
とは言っても、これまでの実績から大きく運用が変わってしまうような変更は、
審査基準の改正という解釈変更ではなく、
正規の法改正手続きを踏むのが、「民主的」なんでしょうね。

 - 知財戦略

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