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TPP、なぜ知財でもめるのか

      2014/08/21

先日のWikiLeaksが公開した文書から、
TPP・知財面では完全合意はかなり難しそうなことが見て取れます。

現在の状況、論点は↓を見てもらうのが一番分かりやすいです。
福井先生による、分かりやすいまとめ
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/fukui/20131126_625004.html



なぜ、こんなにも知財分野でもめるのか。
それは知財制度の本質を考えれば当然のことです。

・発明の保護と奨励?
・産業の発達?
・文化の発展?
もちろんそうですが、国際社会における知財制度の実質は「先進国が途上国へのアドバンテージを守ること」でしょう。

先進企業が後発企業へのアドバンテージを守る、と言ってもいいかもしれません。

もちろん先進企業が開発費を投資して得た発明やブランドなどを、保護できることによって、安心して開発投資できる環境を維持し、産業全体の発達に寄与する。後発企業や中小企業も独自の開発に注力し、技術をもって競争力とすることができるので、建前としては、中小企業の競争力強化にもなる公平な制度。です。

今回公開された文書の全体的な目的も、「経済および社会的発展の促進における知的財産の役割を強化すること」だそうです。


しかし、とはいえ、国単位でマクロに見た場合、
現実問題として、各国が保有している知的財産(技術やブランドやコンテンツ)には大きな差があります。

先進国が途上国に対して、「TPP加盟国の皆様、知財制度をしっかりと整備しましょう!」と言うのは、
「お前ら、俺の国の権利を侵害したりパクったりするなよ。使いたいなら、金を払うか、真似せず自分で作るかしろよ。」と言ってるのと同じこと。

もちろん長い目で見れば、途上国も先進国に発展していくべく、
自国で開発された知財をしっかりと保護できる制度は整備していくべきですが、
今現在の現実問題としては、途上国にとって知財を整備するメリットなんてほとんどない。

発明の保護と利用のバランスだ、とか言っても、その持ってる発明にこれだけの差があれば、利害が一致するわけがない。

これで揉めないわけがないわけのです。


とは言え、国ごとにルールが違うのはプレイヤーたる民間企業にとっては困っもの。そこで、TTPという議論のパッケージを用意することによって、個別論点だとなかなか呑めないような制度もまとめて統一してしまいましょう、というわけです。

なので、ある程度えいや!で統一してもらうほうがいいなー、というのが私個人の感想です。

そのためには、アメリカさんにはジャイアニズムをいかんなく発揮してもらい、
日本は割といい立場にいると思うので、これは譲れない!という点はしっかり主張しつつ、細かい点は妥協して決めてもいいのかな、と。


TPP知財交渉の落としどころ

後は私の予想ですが、

多数派(とアメリカ)の押し切りで合意できるかなと思うのは、

  • 音・匂いの商標登録(匂いは難しいかもしれないが)
  • 電子的な一時記録を複製権の対象に(よく分からん注記が付いてくると思いますが)
  • DRMの単純回避規制
  • 著作権・商標権侵害の非親告罪化



おそらく、合意できないんじゃないかと思う大きな論点は、

  • 特許保護の対象品目拡大(特に診断治療)
  • 新薬の保護強化
  • 著作権の保護期間を死後70年に延長統一


著作権保護期間の延長なんて、昔のコンテンツに強いアメリカが嬉しいだけで、
それで文化が発展するとも思えないし、ここは日本に頑張ってほしい。
この辺を残した部分合意で締結されるんじゃないかな。

実務・ビジネスへの影響を考えると、

  • 実現すると著作権保護期間延長は影響大きい
  • 音・匂いの商標登録は企業の知財実務としては大変そうだけど。
  • 一時記録が複製権の対象と明記されると、海賊版のストリーミングをどう扱うのか、国民全体への影響が出そうですね。
  • 著作権の非親告罪化など罰則強化は、クールジャパンを目指している日本にとっては後押しとなるのでは。


多分日本にとって、今の議論の状態は言うほど悪い状態じゃないと思います。


少し、追記しました。
 

 - 知財戦略

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