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独占性と排他性:独占排他権の誤解

      2014/08/21

特許権は、「独占排他的な権利」であると言われます。 
独占的であり、かつ排他的である。 
つまり、特許権は、独占性排他性の両方を備えています。 


ここで、この2つの用語の意味(特に排他性)について、 
どうも異なる解釈の仕方がされているようです。 

・解釈1 
独占性=自分だけが実施する権利を持つという性質 
排他性=他人の実施を排除(差止)する権利を持つという性質 

・解釈2 
独占性=自分が実施する権利かつ他人の実施を排除する権利を持つ性質(実施権の専有) 
排他性=重複する権利を成立させないという性質 


解釈1のほうが、広く使われているように思われるのですが、 
法律的に正しい用語の使い方は、解釈2のほうです。 

独占性と排他性


特許権は物権的権利ですが(68条)、 
物権の「排他性」とは、 
「同一物に対しては、同一内容の物権は、一つしか成立しない」 
ということを意味します。 

つまり、重複する「権利」の両立を排除するという意味で、排他的な権利と言われます。
排他的だという「権利の性質」を説明するものですね。 


本来、他人による物権の侵害行為を排除する権利(物権的請求権)のことを、排他性とか排他的権利とかは、言いません。「排除権」や「禁止権」と言うならなんとなく理解はできます。「排他権」と言うと微妙です。

(ただし、物権的請求権が存在する理論的根拠は、物権の排他性から説明されるのが一般的なようです。これが紛らわしくする一因でしょうか。) 



「独占」とは、独り占めにすることであり、それ自体に他人の侵害行為を排除できる意味が込められています。
つまり、独占権=実施権の専有=積極的権利(実施権)+消極的権利(排除権)です。 



そして「排他性」とは、重複権利を成立させないという「権利の性質」。 
「排他権」という言葉自体、排他的権利とごっちゃになって、適当に作られた言葉だと思います。 

特許権は「独占的排他権」だ、というのは、「独占的で排他的な権利」だ、という意味が正しいはずです。 



物権的権利と差止請求権

さて、少し話が飛んで、 
68条で実施権の専有が明記されているので、特許権は物権的権利であると言え、そうすると当然に物権的請求権を備えていると考えられます。 

つまり、100条においてわざわざ差止請求権を規定しなくても、一般法たる民法に基づいて差止請求はできるはずなのです。なぜ、100条を設けたのでしょうか。 


例えば、権利侵害(不法行為)に基づく損害賠償請求は、わざわざ特許法に規定することなく、民法709条を根拠条文とします。 
特許権は財産権なので、特許法上でさらに明文規定を設ける必要がないからです。 

それなのに、何故差止請求権は特許法上で規定しているのか。 


確認的な規定である、という説もありますが、 
一般的には、特許権はあくまで物権「的」権利であり、無体物である特許権がいわゆる「物権」と必ずしも同様に扱われる保証がないから、別途特許法において差止請求権の規定を設ける必要があったと言われます。 


確かに、特許権による差止請求権は、物権的請求権とは、少し違う点があります。特にその根拠など。
 

物権的請求権の根拠は、物権の排他性や、所有権が物を絶対的・直接的・排他的に支配する権利であること、などです。 
特許権の差止請求権の根拠は、現行法上はもちろん特許法100条ですが、100条が無い場合には、権利の排他性や独占権というだけでは、上手く説明ができなくケースが出てきます。 


例えば、特に問題になるのが、 
「専用実施権を設定している場合の特許権者による差止請求権の有無」。 
実務上(判例上)、差止請求可能となっています。 

これは、特許法100条を素直に解釈した結果ですが、 
実施権はないのに、差止請求権がある、というのは、いわゆる物権的請求権ではあり得ないことだと思います。 


言葉の意味の変化

ちょっと話が飛び飛びで、まとまりがないのですが、 
言いたかったのは、「排他性」の解釈についてです。 

特許権が「独占排他的」だと言った場合、 
排他的とは権利の排他性のことを指すのが、そもそもの意味だったはずです。 
つまり解釈2が、元来の意味だったはずです。 


しかし、今では(かつ知財の分野では)、解釈1が完全に主流です。 

多分、これはこれで間違いではないのだと思います。 
時代の変化による言葉の変化ですね。
 

独占性、排他性、というよりは、 
「独占権」、「排他権(禁止権)」と考えると、 
それなりに意味は通るでしょうか。 

排他権は、自分の実施を保証するものではなく、あくまでも禁止権のようなイメージ。 
そうすると、上で述べた専用実施権を設定した特許権者にも、独占権はないが、排他権はある、と。 

「独占排他権」は、「独占的で排他的な権利」ではなく、「独占権+排他権」。 

「排他的権利」≠「排他権」 
「排他的権利」は、重複権利を許さないという性質を持った権利、 
「排他権」は、侵害行為を排除できる権利。 


うーん、どうでしょう。。 
やっぱり排他権を他人の侵害行為を排除できる権利とすると、 
「独占権」と意味が被るんですよね。 

独占という言葉自体に、実施権と排除権の両方が含まれるはずですもんね。 

それなら「実施権」と「排除権(禁止権)」、とかにするほうが、まだ良いですね。 
実際今では、独占権と排他権を、実施権と排除権のような感じで使っている人が多いですしね。 


元々の「排他的」の意味を取り違えて使われ続けた結果、 
どうも用語の整合が取れなくなっているようです。

 - 特許

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