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音商標や色彩商標など新しいタイプの商標の審査基準案

      2014/08/21


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産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会商標審査基準ワーキンググループにおいて(長い。。)
審議中の段階ですが、音や色彩など新しいタイプの商標の審査基準案が出揃いました。

 

まだ変わり得るのですが、5種類の商標ごとにまとめてみました。

 

音商標

識別力
音商標の識別力に関し、音が言語的要素を含む場合(例えば、メロディにのせて製品名・企業名等を読み上げる場合)、当該言語的要素が例えば企業名等を表すものとして出所を認識させる場合には、原則として、音商標に識別力があるといえる。
他方、言語的要素を含まない音商標の識別力に関して、音のみの商標は原則として識別力は無いが、商標として使用された結果、識別力が生じる。ただし、使用せずとも識別力を有する音もある。

 

原則として識別力が認められない音商標には、
(ア)商品又は役務の特徴としての音(第3条第1項第3号)
①商品又は役務から自然発生的に生ずる音又は
商品又は役務にとって必須の音
②商品又は役務にとって必須の音ではないが、その市場において商品又は
役務に通常使用される音
(イ)極めて簡単で、かつ、ありふれた音(第3条第1項第5号)
①単音及びこれに準じるような極めて単純な音
(ウ)その他自他商品役務の識別力が認められない音(第3条第1項第6号)
①商品又は役務の取引に際して普通に用いられている音
②自然音を認識させる音、ゲーム機器に使用される電子音等
(例)「ゴロゴロゴロ(雷の鳴る音)」、「ピコピコ(電子音)」
※後述の「各国の審査基準比較表(識別力)」の「類型5」に該当。
③クラシック音楽や歌謡曲を認識させる楽曲

 

などがある。

 

類比判断
言語的要素をメロディにのせるような音商標の類否の検討においては、全体観察を基本としながらも、言語的要素又はメロディ等の要素のそれぞれを要部として観察する。要部の抽出については、言語的要素又はメロディといった音の要素の識別力の強弱等によって、その捉え方が異なる。

 

例1
音商標「おいしい」(識別力のあるメロディ)≒音商標「識別力のあるメロディのみ」
※両商標のメロディは同一のものとする。

 

・例2
音商標「ジェーピーオー」(識別力のないメロディ)≒文字商標「JPO」

 

・例3
音商標「ジェイピーオー」(識別力のあるメロディ)≠文字商標「JPO」
(メロディが要部となるため)

 

・例4
音商標「ジェイピーオー」(識別力のないメロディ)≠音商標「エービーシー」(識別力のないメロディ)
※両商標のメロディは同一のものとする。

 

色彩のみからなる商標

識別力
色彩のみからなる商標は、単一の色彩でも色彩を組み合わせた商標でも、本来的に識別力は認められない
使用により識別力を獲得することによって、需要者が商品又は役務の出所を認識することができるようになったものについてのみ、その登録を認める。

 

周知性を獲得するための商標の使用の態様として、文字や図形等を含む態様であった場合、出願された商標と外観上同一視できるとは言いがたいが、色彩が同一であり、かつ、文字・図形等が使用されていても、なお色彩が需要者に強い印象を与えるものであり、色彩部分が独立して自他商品役務の識別標識として認識され得る場合には、例外的に商標が同一であると認められる。
 
類比判断
色彩のみからなる商標についての類否については、色彩のみからなる商標は主として色彩の外観が重要な判断要素になるため、当該色彩が有する色相(色合い)、彩度(色の鮮やかさ)、明度(色の明るさ)等により構成される全体の外観をもとに類否の判断を行う。

 

・単色の商標の類否
商標の色彩の具体的外観について、当該色彩が有する色相(色合い)、彩度(色の鮮やかさ)、明度(色の明るさ)等に基づき類否を判断すべき。
例:赤と深紅色は類似するが、深紅色とピンクは類似しない

・色彩を組合せた商標と単色の商標の類否
構成中の一色のみを抽出して、類否を判断するのは適当ではない。
 

 

動き商標

出願方法
動き商標は、動きの特徴を把握するに十分な一又は複数の図又は写真により表現することが想定される。
 
商標の詳細な説明において、構成要素としての文字及び図形等の標章の説明、標章の動きの様子、特徴、順番及び全体の所要時間等についての具体的かつ明確な説明が必要。

 

識別力
動き商標の識別力は、文字や図形等の標章とそれが時間の経過により変化する状況(標章の動き方)を商標登録を受けようとする商標及び商標の詳細な説明から特定し、全体として判断する必要がある。
標章そのものの識別力の有無が、商標全体の識別力の判断に影響を及ぼす。

 

標章そのものに識別力が認められる場合は、商標全体として識別力が認められる。

 

標章そのものに識別力が認められない場合は、原則として商標全体としても識別力を認められないが、標章の動き方が識別力のある文字や図形等として需要者に認識されるような場合には、商標全体として識別力が認められる。
例えば、標章の動きが軌跡として線で表され、それが文字や図形等を形成する場合等であって、当該文字や図形等が識別力を有する場合には、登録要件を満たし得ると考えられる。



使用による周知性獲得において、
動き商標の使用例としては、CM等の広告の動画データが提出される場合が多いと考えられるが、このようなデータには、①商標登録を受けようとする商標及び商標の詳細な説明において表現されていない要素を含んでいたり、また、②音その他の標章とあわせて使用されていたりする場合が多いと考えられる。
この場合、商標登録を受けようとする商標及び商標の詳細な説明から特定される動き商標(以下「出願商標」という。)の部分が同一であって、かつ、出願商標が、その動画データ中の他の要素(音その他出願商標を構成しない文字・図形等)を勘案してもなお、需要者の目につきやすく、強い印象を与え、独立して自他商品役務の識別標識として認識され得ると認められる場合に限っては、使用商標と出願商標は同一と認めるのが適当。

 

類比判断
(1)動き商標間の類否
(ア)軌跡が残る場合
動き方(軌跡)に識別力が認められる場合、動き方(軌跡)が同一又は類似であれば、全体として類似することが多いと考えられる。

 

(イ)軌跡が残らない場合
動き方(軌跡)が残らないような場合には、残像の描く軌跡が同一又は類似であっても、全体として類似しないことが多いと考えられる。



(2)異なるタイプの商標間の類否
①動き方(軌跡)に識別力が認められる場合
動きによって表された文字からなる文字商標と類似することが多いと考えられる。

 

②標章自体及び動き方(軌跡)に識別力が認められる場合
当該標章からなる図形商標及び当該標章が動くことで描かれた文字からなる文字商標の双方と類似することが多いと考えられる。

 

③標章に識別力が認められ、かつ、変化する場合
例えば、変化の前後の標章と当該標章からなる図形商標とは類似することが多いと考えられる。
なお、この場合に、変化の冒頭や最後に現れる標章は需要者の記憶に残りやすく、中間に位置する標章は需要者の記憶に残りにくい等の事情を考慮する必要がある。



ホログラム商標

出願方法
(1)「商標登録を受けようとする商標」の記載方法
ホログラム商標は、見る角度や光の当たり具合によって変化して見える文字や図形等を一又は複数の図又は写真により表現することが想定される。

 

(2)「商標の詳細な説明」の記載
商標の詳細な説明は、願書に記載した商標登録を受けようとする商標を特定するため、構成要素としての文字や図形等の標章の説明やホログラムの効果(立体的描写となる効果、光により反射する装飾効果、角度により画像面が変化する効果等)等についての具体的かつ明確な説明を求める。

 

一商標一出願について
いくつかの国(例:米国、韓国)において、ホログラムが平面上に複数の表示面を与えるために使用されているときには、一商標一出願違反として拒絶される。
他方で、そうした商標の登録を認める国もある。(例:英国、豪州)
こうした状況を踏まえ、我が国として、ホログラムが平面上に複数の表示面を与えるために使用されているときに、一商標一出願違反とするか否かについて検討する必要がある。
しかし、こうした表示は、現在、平面商標において文字を多段書きにしたり、立体商標において異なる面に図形を表示したりする場合等と同様に考えることもでき、ホログラム商標のみ特別に扱う事情はない(一商標一出願違反とはしない)と考えることもできる。

 

識別力
ホログラム商標の識別力は、文字や図形等の標章とそれが変化する状況を商標登録を受けようとする商標及び商標の詳細な説明から特定し、全体として判断する必要がある。
ホログラムが平面上に複数の表示面を与えるために使用されているときは、それぞれの表示面に描かれた要素に着目して全体の識別力を判断する必要がある。

 

類比判断
ホログラム商標に特有の問題であるホログラムが平面上に複数の表示面を与えるために使用されているときの商標の類否判断について

 

<例1:複数表示面の各構成要素が不可分的に結合していると考えられる場合>
成語が複数の表示面に分割されて表示されている等、複数表示面の各構成要素が不可分的に結合していると考えられる場合には、要部観察をすべきとする特段の事情がない(一連一体の商標)といえることから、当該成語の一部から成る文字商標とは類似しないことが多いと考えられる。

 

見る角度によって、「MOUN」と「TAIN」が見える場合、その商標は「MOUN」とは類似しない。



<例2:複数表示面の各構成要素が不可分的に結合していると考えられない場合>
特段の意味を有しない造語等が複数の表示面にそれぞれ表示されている等、複数表示面の各構成要素が不可分的に結合しているとまでは言えず、各構成要素の商標全体に占める割合が低い等の事情がないような場合には、要部観察も行うことが適当であることから、各表示面に表示された文字から成る文字商標とは類似することが多いと考えられる。

 

見る角度によって、「MOUN」と「カタニ」が見える場合、その商標は「MOUN」とも「カタニ」とも類似する。



<例3:多数の表示面に標章が表示されている場合>
ホログラム商標が多数の表示面を有し、それぞれに文字や図形が表示されている場合には、各構成要素が不可分的に結合しているとは言えなければ、要部観察を行うことも考えられる。しかし、要部観察をしようとしている表示面に表示された文字や図形の全体に占める割合が低い場合等には、一の表示面に描かれた図形等と類似する商標であっても、全体としては類似しない場合が多いと考えられる。



位置商標

出願方法
位置商標の出願においては、願書の記載として、商標のタイプの記載、商標登録を受けようとする商標、商標の詳細な説明の提出が想定される 。

 

(1)「商標登録を受けようとする商標」の記載方法
位置商標は、商標登録を受けようとする部分を実線で描き、その他の部分を破線で描く等により商標登録を受けようとする部分及びそれを付する位置が特定されるように表示した1又は異なる2以上の図又は写真によることが想定される。

 

(2)「商標の詳細な説明」の記載
商標の詳細な説明は、願書に記載した商標登録を受けようとする商標を特定するため、商品全体における位置の部位の名称、形状、特徴等についての具体的かつ明確な説明を求められる。

 

識別力
位置商標の識別力には、文字や図形等の標章とそれが付された位置とを、商標登録を受けようとする商標及び商標の詳細な説明から特定し、商標全体として判断する必要がある。

 

商標登録を受けようとする商標に実線で描かれた部分に識別力が認められる場合、その位置に関わらず識別力が認められる場合が多くなる。
他方、実線で描かれた部分に識別力が認められない場合、その位置によって識別力が生じることは通常考えにくいため、原則として、識別力があると認めることはできない。したがってこのような場合には、原則として識別力が認められず、使用により識別力を獲得することによって、需要者が商品又は役務の出所を認識することができるようになったものについてのみ、その登録を認める。

 

類比判断
(1)位置商標間の類否
①標章自体に識別力が認められない場合
標章が同一又は類似、かつ、位置が同一又は類似する場合は、類似することが多いと考えられる。

 

②標章自体に識別力が認められる場合
標章が同一又は類似であって、位置が同一又は類似でない場合でも、類似することが多いと考えられる。



(2)異なるタイプの商標間の類否
①標章自体に識別力が認められる場合、当該商標からなる図形商標又は立体商標とは、類似することが多いと考えられる。

 

②標章自体に識別力が認められない場合、当該標章を要部として抽出することは適切ではないから、当該商標からなる図形商標とは、原則、類否判断は行わないと考えられる。




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